平成28年度予算特別委員会「観光マーケティング事業『福岡よかとこパスポート』について」

◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋聡です。
 綱取りがかかる我らが琴奨菊関、きのうも抜群の取組内容で二連勝いたしました。そして、きょうは待望のソフトバンクホークスファーム本拠地となるホークススベースボールパーク筑後の竣工式です。こけら落としとなる十九日の広島カープ戦のチケットは既に完売しているようです。
 我が県南は、スポーツによって元気をいただき、盛り上がっているところですが、先日発表された国勢調査結果に、県南地域は危機感を募らせておるところでもあります。ぜひ、このスポーツの勢いを、観光を初めとする商工部の地方創生施策に取り込んでもらえないかと思っておりますけれども、みやま市に御親戚もおられて、御縁のある部長、どう思われますか。

◯加地邦雄委員長 今村商工部長。

◯今村商工部長 私ども、ぜひ地域の皆さんと一緒になって、地域でこれまで培われてきた地域の資源、さらには先ほど委員御指摘のとおり、新たに開設されるベースボールパーク、そういったものを活用して、地域の皆さんとともに観光客、特に誘客を図っていきたいと、このように考えております。

◯板橋 聡委員 心のこもった回答ありがとうございます。
 ということで、きょうは観光マーケティング事業福岡よかとこパスポートについて、質問をさせていただきたいと思います。観光マーケティング機能の強化として、二月補正予算で、福岡よかとこパスポート事業が新たに計上されました。この事業の狙いを教えてください。

◯加地邦雄委員長 武濤観光・物産振興課長。

◯武濤観光・物産振興課長 本県におきます観光客の入り込みは、福岡市、北九州市を中心としました都市部のほうに集中しております。県内各地への観光客の周遊促進が大変大きな課題であります。
 県内さまざまな地域に観光客を周遊させるためには、徹底したマーケティングに基づき、主流となってきております個人観光客の動向を把握することが不可欠であります。このため、県内の観光施設や体験プログラムなどで利用が可能な観光パスポートを発行し、パスポート利用者の情報を収集するという事業であります。この情報収集で得ました福岡県を訪れる観光客の属性や動向を調査分析することによりまして、今後の観光施策立案に役立てていくことが事業の狙いであります。

◯板橋 聡委員 事業内容を今後詰めていかれることになるのではないかと思いますけれども、これは福岡県オリジナルの事業ですか、それともほかの自治体でもやっておるような事業でしょうか。

◯武濤観光・物産振興課長 同様の事業につきましては、高知県が平成二十四年度より龍馬パスポートと称しまして事業を実施しております。これは、パスポートを見せて観光施設などを利用しますと特典を受けられると同時に、パスポートにスタンプが押されまして、このスタンプが一定数たまりますと、パスポートがランクアップしていくものであります。同様の事業を三重県や栃木県でも行っております。

◯板橋 聡委員 龍馬パスポートの事例を挙げていただきましたけれども、要するに、紙で新しくパスポートを発行するということだと思います。今、私もそうなんですけれども、スマートフォンとか、そういったインターネットなどを通じた電子的なツールが普及をしておるような現状でございます。紙ベースで、しかもアナログで情報を収集するということで、どれぐらい実効性があるのかなと思いますし、私もそうなんですけれども、旅行に行くときは少しでも身軽でいたい。今、僕の財布の中もいろいろなポイントカードだ何だで、ぱんぱんなんですね。そういうときにわざわざ、さらにもう一つ福岡よかとこパスポートを持ち歩いてくれるかどうかが非常に疑問なんですけれども、他県における観光パスポートの利用状況を教えてください。

◯武濤観光・物産振興課長 龍馬パスポートにつきましては、幅広い世代が親しめるよう紙ベースとしながら、高級な紙でつくった表紙に金箔を施すなど、パスポートデザインにこだわったつくり込みがなされております。その結果もありまして、平成二十七年二月末までに、高知県におきましては累計で約十四万五千人の方がパスポートを申請され、申請書をクリアされまして、パスポートの交付を受けておられます。

◯板橋 聡委員 インターネットを余り使われない世代の方もいらっしゃるので、紙というのは非常に大事だと思いますけれども、今後、例えばスマートフォンの画面で、ぱっとタッチするとできるとか、あるいはインターネットによって加入申し込みをするとか、そういったこともぜひ検討すべきと思いますけれども、いかがでしょうか。

◯武濤観光・物産振興課長 まず紙でさせていただきたいと思いますけれども、今後そういったこともできるか、検討してまいりたいと思っております。

◯板橋 聡委員 ぜひよろしくお願いします。
 さまざまな県がパスポート事業を行っております。福岡県が、この雄県福岡県が、後発としてパスポート事業に追随するというのはちょっといかがなものかなと思いますが、この意義は何でしょうか。

◯武濤観光・物産振興課長 やはり昨今、個人の方、あるいは小グループで旅をする観光客が増加しまして、本当に全国各自治体の競争も激化しております。そういった中で、本県が誘客、周遊を他県に負けないように進めていくためには、観光客の動きをしっかりつかむとともに、豊かな自然、産業遺産を初め歴史や文化、伝統工芸など、本県ならではの魅力を直接体験してもらい、その評価や動向を次に生かす仕組みが必要となっていると考えております。そのためには、この観光パスポート事業は有効な手法であると考えております。

◯板橋 聡委員 県としては、しっかり観光客の動向をつかむ、観光客を囲い込むという目的があるとは思いますけれども、その方たちに多く加入してもらうためには、他県の事業とは一味違う、福岡県ならではと言われるようなオリジナルな内容にする必要があると思いますけれども、課長、どういうふうなお考えをお持ちでしょうか。

◯武濤観光・物産振興課長 観光パスポート事業としましては、確かに全国初というわけではございませんけれども、他県の事例を参考にしながらも、福岡県としてパスポートのデザインや素材に、本県の特産品、伝統工芸品を使用する、あるいは産業遺産をめぐる旅や酒蔵、久留米絣、八女茶など体験型の観光プログラムといった、福岡県らしい観光素材をパスポートの利用対象にするなど、しっかり工夫をしていきたいと考えております。

◯板橋 聡委員 ぜひ福岡県らしい魅力ある事業内容にしていただきたいんですけれども、一方、県内周遊の取り組みというのは、これは商工部だけで行うものではないと思っております。他の部局や市町村と連携することで、多くの方が事業に参画できて、事業効果も上がるのではないかと思っております。
 他県のパスポート事業では、体験型イベントに参加する場合もパスポートの利用対象になると聞いておりますけれども、例えば、毎年秋から春にかけて筑後地域で開催されるマラソン、駅伝、ウオーキングなんかをリンクさせて、スポーツツーリズムを目指す地域振興プロジェクト「走りとーなる筑後。」というのを、今、筑後地方でやっていただいているんですね。こういった体験型のイベントをパスポート事業の対象にするとか、他の部局の事業とか、市町村と連携してこの事業を進めていくお考えはありますか。

◯武濤観光・物産振興課長 委員御指摘のとおり、連携は大事だと考えております。本県の他の部局とは幅広く連携して取り組んでまいりたいと考えております。
 さらに、熱意のある市町村や観光協会などとも連携しまして、県内各地で開催される地域振興に資するイベントの中で、どのようなものが観光と相乗的な効果を発揮できるか、しっかり検討しまして、事業に参加できるようにしていきたいと考えております。

◯板橋 聡委員 さまざまな形で連携して、事業を実施していただきたいと思います。
 次に、このような事業は県内津々浦々、多くの参加事業者を巻き込めるかどうかが鍵となると思っております。県内には、地元の人間が気づいていないような、しかし、外から見ると大変魅力的な観光素材を持つ地域もあります。そういった有名観光地ではない地域の事業者や団体も本事業に参加してもらうことが、県内の魅力発掘にもつながり、周遊の促進に結びつくと思いますけれども、いかがでしょうか。

◯武濤観光・物産振興課長 県内各地への観光客の周遊促進、これは非常に大事です。このためには、有名観光地だけでなく、そうではない地域の事業者にも参加いただき、地域の魅力を発信してもらうことも必要であると考えております。観光客の誘客に積極的に取り組む事業者や団体に幅広く参画を呼びかけ、県内さまざまな地域から一社でも多く参加いただくよう取り組んでまいります。

◯板橋 聡委員 私が何でこういう質問をしたかというと、福岡県というのはもともと商工業を中心に発展してきたという歴史があります。観光という意味では、残念ながら、こういうふうに他県に追随して始まる本パスポート事業のように、先進県というよりは、まだまだ発展途上な部分もあります。これは同様に、県内には観光客の受け入れになれていないという地域や事業者も少なくないということです。
 せっかくパスポートを利用して観光客に来ていただいたとしても、受け入れる側の対応が悪ければ、本県の観光にとって、かえってマイナスになる可能性もあります。リピートしたいと思ってもらえるようなおもてなしとかサービスを提供することは、これは観光客のみならず、地域が生き生きしてくると思うのですね。地方活性化につながると私は思います。その点で、本事業は、最初の主目的は観光客の囲い込み、これももちろん大事ですけれども、本当に大事なものは、お土産屋さんとか飲食店とか、この事業に参加する事業者のネットワーク化だと、私は思っております。
 最新の観光情報とか、あるいは観光における成功事例など、観光客に対するおもてなしをブラッシュアップするために、そういった情報提供を参加事業者にあげるとか、あるいはセミナーを開くとか、そういう参加事業者のサービスレベルの向上を図ることができれば、事業者にとっても、このパスポート事業に参加してみたいと、参加したらいろんな情報が来て、うちも繁盛するようになった、まちが明るくなったということが大事だと、事業者にとって非常に価値が上がる事業になると思っております。何よりそれが、福岡県が観光立県に一歩近づくことになるのかなと思っております。
 ぜひ参加する事業者側のネットワーク化を図り、おもてなし側のサービスレベルの向上を目指すべきと考えますが、課長のお考えをお聞かせください。

◯武濤観光・物産振興課長 確かに、観光客を受け入れる側のサービス向上は、パスポートの利用者をふやすためにも、また、もう一度来ていただくための重要な要素であると考えております。県では、今までも観光協会等の職員を対象としました研修会等を実施し、サービスの向上に取り組んでまいったところでありますが、この事業を通じましても、参画事業者や市町村、観光協会などに対しまして、本事業の仕組み、観光客への接客マナー向上に対する情報はもとより、成功事例などもしっかり届けまして、また事業者間等のネットワークをつくりまして、観光客に対して提供するサービスを底上げしてまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 非常に意欲は感じられるんですけれども、ちなみに、この事業における参加者の目標数とか、あるいは参加事業者の目標数というのは設定されていますでしょうか。

◯武濤観光・物産振興課長 今の段階では、大体五百事業者ぐらいを、まず目標にさせていただいております。

◯板橋 聡委員 その五百事業者というのは、どのように分布しているかとか、そういったところも考えられると思いますので、しっかりと今後、引き続きどういうふうに津々浦々に広げていくかということをやっていかなければいけないと思うんですが、この五百事業者はいつまでに達成する予定ですか。

◯武濤観光・物産振興課長 今から準備を進めてまいりまして、済みません、まだはっきりとしたスタート時期は言えないんですけれども、夏以降、できるたけ早くスタートしたいと思います。そのときには、その数を五百事業者程度に持っていきたいと考えております。

◯板橋 聡委員 何となく声が小さくて大丈夫かなと思いますけれども、部長、そこも補うようなことで、部長のこのプログラムに対する、この事業に対する意欲を聞かせていただけますか。

◯今村商工部長 近年、観光の分野におきましては、個人でありますとか、小グループの旅行者というのが増加してきております。これに伴いまして、ニーズをしっかり把握して事業を行うという自治体間の競争がどんどん激しくなってきております。そういう中で、私ども本県に今後さらに増加してまいります個人旅行観光客の皆さんの動向を把握し分析して、観光戦略を立案していくとともに、地域の事業者の皆さんとサービス向上を図って、双方、これが両輪となって、さらに観光客の誘客を促進する、そういった形に持っていきたいと考えております。
 先ほど来、委員御指摘のとおり、この事業を本当に効果あらしめるためには、私どもも市町村、観光協会、地域の事業者と一緒になってこういった事業を行いまして、県内各地への周遊の促進でありますとか、さらなる地域の活性化に持っていきたいという思いでございます。
 その際、先ほど事業者数のお話がございましたけれども、実は私どもは今年度、福岡よかもんよかとこ事業で、県内の事業者に多数御協力をいただきました。既にそういった意味では、地域の事業者の皆さんと一定の取り組みを始めているという実績がございます。そこの成果を踏まえまして、さらにこの事業を効果のある事業として持っていきたいと考えております。

◯板橋 聡委員 ちなみに、よかもんよかとこ事業で、みやま市を初めとする県南の企業はどれぐらい参加しておりましたか。

◯今村商工部長 申しわけありません、ちょっと私、手元に数字を持っておりませんけれども、みやま市からも御参加をいただきまして、それなりに分析はいたしております。そういった事業者の皆さんにも当然お声かけをしていきたいと考えております。

◯板橋 聡委員 いや、それなりの分析では困るので。私が言ったのはそういうことなんですよね。県内津々浦々どれぐらい、ちゃんと事業者が参加できるかと。これをしっかりやってもらわなければ、今の御答弁の内容ですと、みやま市あたりはぺろんとやっておけばいいか、それぐらいにしか聞こえないんですね。
 これはぜひ知事にしっかりと話を聞いて、県内津々浦々、この事業の効果を広める覚悟があるかどうか、これをぜひ確認させていただきたいと思いますので、知事保留をお願いいたします。

◯加地邦雄委員長 ただいま板橋委員から申し出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。なお、知事保留質疑は三月十八日金曜日に行う予定でありますので御了承願います。

◯板橋 聡委員 終わります。(拍手)