平成27年2月議会一般質問「中山間地における果樹産地の新規就農者対策」「空き家予備軍対策」

録画中継にて知事答弁を含め視聴する事が可能です
板橋聡の議会質問録画中継

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質問要旨 一、中山間地における果樹産地の新規就農者対策
     一、空き家予備軍対策
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◯議長(加地 邦雄君) 板橋聡君。(拍手)
*板橋議員質問

◯十一番(板橋 聡君)登壇 皆さん、こんにちは。自民党県議団の板橋聡です。
 私は、平成二十三年に初めての当選をさせていただいて以来、藏内会長初め自民党県議団の御指導を仰ぎながら、一般質問十二回、予算及び決算特別委員会にて二十一回質問の場に立たせていただきました。初めての一般質問では、県内地域格差是正について質問を行い、地域それぞれの特性を生かし、一極集中ではなくバランスよく発展することが福岡県の最大の強みになることを知事と確認をさせていただきました。一期四年、締めくくりとなる三十四回目の質問となりますが、この思いは変わっておりません。地域特有の資産をどう活用していくかという視点で、本日は、中山間地における果樹産地の新規就農者対策と空き家予備軍対策の二つについて質問をいたします。
 まず、中山間地における果樹産地の新規就農者対策についてです。みやま市を初め農山村地域では、人口減少対策や定住化対策など地方創生の取り組みが急務であります。その一丁目一番地が地域特有の資産である肥沃な農地を持続させる、つまり主要産業である農業の維持発展を図ることだと私は信じております。昨年の九月議会でも触れましたが、高齢化による農業者の減少が続く中で、継ぐ意思と誇りを持った新規就農者をどう確保するのかが一つの鍵を握ります。県南地域は、みやま、八女、朝倉、うきはなど、ミカン、柿、ブドウ、スモモなど、県内有数の果樹生産が盛んな地域であります。しかしながら、これらの産地は中山間地域でもあり、後継者不足が深刻です。加えて、果樹は苗を植えて収入を得るまでに数年を要するため、栽培を始めたその年に収入が得られる野菜などと比べ、農外からの新規参入が取り組むには厳しい部門であるとの声が多く聞かれます。最近、農業全般では新規就農者がふえてきているような話もありますが、果樹産地においては、果樹や中山間地特有の課題が重くのしかかっております。新たな就農者が低迷すれば、地域特有の資産である果樹産地を維持できるのか心配です。新規就農の育成については、県もさまざまな施策に取り組んでいるのは承知していますが、果樹には特有の課題が存在し、一律の施策ではうまくいかない側面があります。
 そこで知事に質問です。野菜や米麦と比較し、果樹における新たな就農者、農外からなのか、後継者なのかも含め、現状はどのようになっているのかをお示しください。
 また、中山間地の振興、果樹産地の維持という視点を踏まえ、新規就農者の確保をどのように行っていくのか、知事の所見をお聞かせください。
 ところで、知事は、地方創生の取り組みについても、常々、強みを生かすこと、仕組みをつくることが大事と言っておられます。私もその理念には賛同いたします。みやま市の柑橘部会では、十年ほど前から、園地登録制度を設け、糖度の高いえりすぐりのものとレギュラー品を別ブランドとして区別して販売し、ブランドごとに代金を精算する方式を導入しております。本当に品質のよいものは高く売るという園地登録制度の導入により、販売価格も上昇し、親が自信を持って後継者に帰ってこいと言えるようになった、あるいは友達が就農するのを見てUターンもふえてきているとの明るい話も聞きます。
 先ほど触れたように果樹産地特有の課題も山積している中で、みやま市の柑橘部会のリーダーが強い意志を持って進めてきた産地育成の手法は、県内でも一歩進んでいるとの評価をいただいております。このような取り組みこそ、これまでの長きにわたり産地が培ってきた品質の高いものをつくる技術力や、農家が一致団結をする組織力を生かしたものであり、まさしく、知事が申される産地の強みが生きた取り組みだと考えます。ぜひ、この取り組みをさらに磨き上げて、今後の果樹産地育成に応用することを要望いたします。
 中山間地が今後とも果樹産地として振興し続けるためには、産地関係者はもちろん、行政も一丸となり、後継者から見ても魅力のある収益性の高い経営基盤を構築することが産地振興の鍵であります。
 そこで知事に質問です。新規就農者の確保とも密接に関係する果樹産地における収益性向上のための取り組みをどのように進めようとされているのか、お示しをください。
 続きまして、空き家予備軍対策について質問いたします。私が説明するまでもなく、空き家問題は各地で顕在化しております。十二月議会の自民党代表質問においても大きなテーマとして知事の姿勢をただし、その際、知事は、市町村、民間事業者に呼びかけて官民一体となり空き家対策を総合的に推進するための協議会を設立すると答弁しました。
 そこで知事にお尋ねします。スピード感を持って対応すべき空き家対策ですが、現在、協議会設立はどのような状況でしょうか、お示しください。
 空き家問題は、空き家が増加することで地域の活力が低下するなど多くの問題を抱えており、まずは空き家の利活用を促進することが重要です。さらに、空き家の利活用をする際に、清掃、リフォーム、リノベーションを行ったり、賃貸契約や不動産売買、引っ越し作業が発生したり、地域において大きな経済効果が見込めます。まさに、地域の眠れる資産です。
 そこで知事に質問します。空き家の有効活用は地域振興のみならず、経済活性化にはかり知れない可能性を秘めています。廃屋になったり、手の施しようがないほど老朽化する前の空き家の利活用を図るべきでありますが、実態がわからなければ対策の打ちようがありません。まずは利活用が可能で、利活用をすべき空き家の実態把握は行われているのでしょうか。また、空き家は増加傾向の上、その状態も刻々と変化いたします。継続的に空き家の状態を詳細に把握すべきと考えますが、知事の見解をお示しください。
 今回、空き家の詳細な状況把握を要請するのは理由があります。地元の方と、最近ここら辺も空き家がふえてきたねという話をしていたところ、いやいや、実は本当の空き家は少ないんだよと言われたのが、質問趣旨を空き家予備軍対策としたきっかけです。一口に空き家と言っても、皆さんが頭の中に浮かべるものは十人十色ではないでしょうか。賃貸や売却のために空き家状態になっているものや、別荘などの用途で日常的に使用されていないものは別として、その他の空き家と統計上呼ばれるものは次の三つに分かれると考えます。一つ目は、老朽化した空き家、廃屋です。テレビなどで最近よく報道される、倒壊の危険云々とか、更地にすると税金がかかるから壊さないという議論に上がるのがこれです。二つ目は、住む人、利用する人が死亡したりしていなくなった状態の空き家。私なんかは空き家と言えばこれを想像していましたが、これはいざ利活用しようとしても、相続人や関係者が遠方にいたりして行政として利活用を働きかけることに大変困難が伴います。そして三つ目は、これは東京を初めとする都市圏一極集中とも関連いたしますが、子供が独立したり、地元を離れた御家庭で、親御さんが御高齢となって入院や老健施設に入所したために長期不在となっている空き家です。はたから見ると、住む人、利用する人がいないから、賃貸や売却したらどうかと思える物件ですけれども、地元を離れたお子さんが月に一度はお見舞いのために帰省して宿泊するから手放せないとか、所有者は死亡したけれど仏壇があって親族がお盆とか正月に集まるから手放せないとか、もろもろの事情により中途半端な状態で、廃屋状態に一歩一歩近づいている、そんな統計上は空き家と一くくりにされるものを私は空き家予備軍と定義しました。
 そこで知事に質問です。所有者の長期不在で日常的に使用されない空き家予備軍は、所有者や関係者が明確で、事前に積極的な利活用の検討を促すことが可能です。また利活用をためらう理由も把握できれば、例えばお見舞いのための一時的な滞在をどうするかとか、仏壇の取り扱いの対応など、行政としてさらなる対策が可能となります。これら空き家予備軍は一刻一刻と廃屋への道をたどっています。空き家対策の中でも、このような空き家予備軍をきちんと把握し、重点的に利活用を促進することが効率的で効果的と考えますが、知事の所見をお聞かせください。
 知事はお気づきでしょうか、議会棟と行政棟の間に美しい紅白の梅の花が咲いているのを。紅白幕を連想させる梅の花。知事初め私ども議員も、四月に紅白幕に囲まれて大輪の花を咲かせるために必死で奮闘しているところであります。しかしながら、花はお水をやらなければ枯れてしまいます。ぜひ、栄養分たっぷりの知事答弁というお水をお願いして、私の一般質問を終わります。(拍手)

◯議長(加地 邦雄君) 小川知事。
*知事答弁

◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
 まず初めに、果樹の新規就農者の現状とその確保についてでございます。平成二十一年度から二十五年度までの五年間、新規就農者は八百十八人いらっしゃいます。そのうち、果樹が百人、米麦とほぼ同数でございますけれども、野菜の四百八十六人に比べますと五分の一程度となってございます。また、果樹の新規就農者のうち、農家の後継者の割合が八四%、野菜の六九%に比べて高く、農外、非農家からの参入が少ない傾向にございます。このように果樹におきましては、野菜に比べて新規就農者や非農家、いわゆる農外者の参入が少ないのは、議員も御指摘がありましたけれども、成木になるまで年数がかかること、また農地の借り入れが長期に及ぶことから、なかなか園地を確保し栽培を始めることが難しい、そういったことがあると考えております。このため、新たに果樹で就農を希望される方々に対しては、相談窓口を設けている市町村と私どもの普及指導センターが連携をいたしまして、収穫が可能で貸し付けを希望される果樹園の紹介というものを進めているところでございます。さらに、果樹は、特に剪定技術がその収量に大きく影響いたしますことから、普及指導センターにおきまして、個別に現地を巡回させていただき、きめ細かな技術指導を実施しているところであります。こうした取り組みによりまして、新規就農者の方を一人でも多く確保し、果樹産地の維持発展につながるよう努めてまいります。
 次に、果樹産地における収益性を高める取り組みについてお尋ねがございました。収益性の高い果樹農業を実現していくためには、付加価値を高め、ブランド化を進めていく取り組みが重要であると考えております。このため県におきましては、まず県独自の品種を開発する、二番目に、品質を高め、安定生産をするための技術指導、あるいは機械、施設の整備を進める、三番目は、消費者の認知度を高め、販売量ないしは販売ルートをふやすための販売促進活動、この三段階あると思っておりますが、それらに取り組んできているところでございます。第一に、県独自の品種でございますけれども、全国的に有名になっておりますあまおう、これに続く品種といたしまして、イチジクのとよみつひめ、種なし甘柿の秋王、ミカンの早味かん、キウイフルーツの甘うぃというものを開発したところであります。第二に、これらの品種の品質を高め、安定生産を図っていくため、ミカンでは、糖度を高めるシートマルチ栽培、あるいは柿の秋王では、より安定して実がつく棚栽培の導入などを支援しているところであります。第三に、認知度を高めるため、私自身、関係団体の皆さんと一緒になりまして、とよみつひめやミカンの北原早生、トップセールスを行うとともに、量販店での試食販売、そういった取り組みも進めているところでございます。また、議員御指摘になりましたが、みやま市のミカン産地におきましては、普及指導センターと連携をいたしまして、糖度の高いミカンを生産し、これを他と区別をして販売する独自の取り組みを始められております。県でもこの取り組みを広め、一緒になって広めたところ、博多マイルドというブランド名で販売されるまでに至っているところでございます。なお、北原早生につきましても、この産地で品種登録されたものでございまして、糖度が高く色づきがよいと、市場からも高く評価されているところであります。県といたしましては、こうした産地みずからの取り組みを大変心強く思っております。今後とも、こうした産地と一体となりましてブランド化を進め、果樹産地の収益性の向上に努めてまいります。
 次に、空き家対策のための協議会設置についてお尋ねがございました。空き家問題は、防災、衛生、景観など地域住民の生活環境にさまざまな悪影響を与えておりまして、今後も空き家の増加が懸念されるところから、取り組みの充実強化が必要であると、このように考えております。そのため、前回お答え申し上げましたが、市町村や宅地建物取引業団体、建築設計者団体など民間事業者に対しまして参加を要請しているところでございまして、三月下旬までにこの協議会を設置したいと考えております。
 次に、空き家の実態把握についてお尋ねがございました。現在、空き家の実態調査でございますけれども、県内三十五の市町で実施されております。生活環境に悪影響を及ぼす観点から調査を行っている市町が多うございまして、利活用の観点から行っている市町は、三十五の中で十五の市町になっております。また、継続的に空き家の実態調査を行っております市町は、三十五市町のうち七市町にとどまっているところであります。このため、全ての市町村におきまして、空き家全戸を対象とし、老朽空き家や利活用可能な空き家を含めた調査が必要であり、またそれは継続して調査が行われていかなければならない、このように考えております。
 空き家の詳細な実態把握についてでございますけれども、先ほどの継続的な実態の調査に当たりましては、今後、これをもとに空き家対策、空き家の実態に応じた適切な対応を進めていくため、空き家の老朽度などの外観調査にとどまらず、空き家となった要因、所有者及びその利活用の意向などを詳細に把握していくことが必要であると考えております。このため、市町村において、こうした調査の実施とデータベースの整備が進み、それらをもとに効果的な、効率的な空き家対策が実施されていきますよう、今後設置予定の協議会の場で、しっかり市町村と検討させていただきたいと思います。
 次に、空き家発生の抑制についてお尋ねがございました。放置された空き家は老朽化をし、周辺地域へさまざまな悪影響を及ぼすことから、空き家になる前に利活用や適正管理について対策を講じていくことが重要であると、このように思っております。このため県では、中古住宅の利活用が促進されるよう、宅建事業者や県内金融機関とも連携をいたしまして、安心して中古住宅の取引を行える建物検査制度、私ども、これは住まいの健康診断と呼んでおりますが、その普及促進に努めているところでございます。今後、市町村と協力をいたしまして、先ほど来申し上げました実態調査で把握できた利活用可能な空き家の所有者等に対しまして、住まいの健康診断の利用を強く働きかけてまいります。また、当面利用する予定のない、手放したくないといった意向を持っておられる所有者等に対しましても、市町村や民間事業者と連携をいたしまして、定期借家方式に関する情報提供、適正管理の必要性についての啓発を行ってまいります。さらに、県民の皆様が空き家問題を広く認識し、事前にそれぞれ必要な対策を講ずることができるよう啓発活動や情報提供に努めまして、あわせて市町村の相談体制の充実を図るため、相談対応マニュアルの策定などを行って進めてまいります。これらの取り組みを設置予定の協議会において実施をいたしまして、空き家対策をしっかり進めさせていただきます。