平成25年決算特別委員会質問「伝統産業の維持振興について」

◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋聡でございます。日をまたいで連続で質問させていただくということで、緊張感を途切れさせず、服装も同じで頑張りたいと思っております。
 福岡県内には、長い歴史を持ち、希少価値の高い産品をつくるさまざまな伝統産業が存在します。私は平成二十五年二月議会において、その維持の必要性と、観光、教育、農林水産など多角的な視点での振興、活用について質問をさせていただきました。それから一年半以上がたち、また、どのような状況になっているか、さまざまな問題点が見えてまいりましたので、ここで再度質問をさせていただきます。
 まず、現在、国や県が指定をした伝統的な産品はどのようなものがあるか、御説明をください。

◯松尾統章委員長 武濤観光・物産振興課長。

◯武濤観光・物産振興課長 現在、国が指定をしております経済産業大臣指定伝統的工芸品として、博多織、博多人形、久留米絣、上野焼、小石原焼、八女福島仏壇、八女提灯の七品目がございます。また、県が指定する福岡県知事指定特産民工芸品には、博多独楽、木うそ、孫次凧、英彦山がらがら、大川総桐タンス、大川組子、掛川、きじ車、八女手漉和紙など、合計三十品目がございます。

◯板橋 聡委員 大変多くの指定を受けた伝統的な産品があることはよくわかりました。しかしながら、県内には指定されたもの以外にも、非常に長い歴史と伝統を持った貴重な産品あるいはその作り手がいらっしゃいます。先ほど申しましたとおり、二十五年二月議会において、これら産品をつくる伝統産業を維持することの必要性を問い、知事から「指定制度の周知徹底と新たな指定品目の掘り起こし、貴重性の高い伝統的な産品の実情把握に努める」との知事答弁を得ておりますけれども、その後どのように進捗をしているか、お教えください。

◯武濤観光・物産振興課長 平成二十五年度に、福岡県知事指定特産民工芸品指定制度の周知徹底を図るとともに、指定要件を満たす地場産品の掘り起こしや、それに準じます産品の有無について、市町村、商工会議所、商工会に対して調査を実施いたしました。その結果、八市町村にある十四品目の情報提供を受けまして、それら品目の伝統性、希少性などについて聞き取り調査を行っているところでございます。

◯板橋 聡委員 このような調査結果を踏まえて、どんどん進めていきたいと思いますけれども、実際にこういう制度があるというのを知らない作り手さんも多いと思います。さらに、アンケートだとかこういったものを資料提出してくれというお願いをいっぱいされる中で、なかなか本業が大変で、そういったところまで手が回らないという方もいらっしゃると思います。そういうことも含めて、どのように今後進めていくか、お教えください。

◯武濤観光・物産振興課長 周知につきましては、さらに周知徹底、皆さんにお知らせをしてまいりたいと思います。
 また、こういった調査を通じまして、県内にまだ指定されていない伝統や希少性を持つすばらしい産品があることがわかりました。現在、県知事指定に必要な伝統的な技法あるいは原材料などの要件を満たす産品について、指定に向けた検討を行っております。また、指定要件に必要な資料が現在不足している産品につきましては、作り手や関係者に対しまして、伝統性や希少性が証明できる文献あるいは証言などが得られないかなど、指定に向けたアドバイスを行っているところであります。
 また、事業戦略やマーケティングのアドバイスを行う県の人材育成事業がありますけれども、こういったものの受講の勧奨、県の物産紹介パンフレットやホームページへの掲載、アクロスの二階に匠ギャラリーがございますが、そういったところや、県庁十一階の展示室を活用しましたPR、販売促進などを通じまして、伝統的な産品の販路開拓や売り上げ拡大を一層図ってまいります。

◯板橋 聡委員 このような伝統産業は一度途絶えてしまうと、もう一度復活させるというのは物すごく難しいです。ぜひ商業的な部分で事業が盛り上がっていくように、商工部としても引き続きこういった援助をしていただきたいと思っております。
 続きまして、伝統工芸品の振興におきまして、観光の視点から振興していくことも非常に重要だと考えます。これら産品の作り手は地域に点在しております。より広くその存在を知ってもらい、売り上げ拡大につなげるためには、観光客の誘致と誘客も有用だと考えております。
 例えばみやま市には、全国的にも珍しい伝統的製法でつくられる天然しょうのう、あるいは、もうほとんど中国に作り手が移ってしまい、日本の中では唯一と言える線香花火、こういったものが伝統産業としてございます。全国でも珍しいこれらの生産者は、商品包装のデザイン改良を行ってメディアに取り上げられたことで注目されて、観光客が訪れるようになりました。例えば線香花火に至っては、地元の和ろうそくとセットで販売して、きれいなキリの箱に入れて、四十本何と一万円で販売をされて、それが品薄になったりするぐらいの人気を得ているということでございます。その線香花火の製造所は、この春、線香花火作成を体験できる施設、暗室を整備して、観光客の受け入れを始めております。
 商工部は今年度、組織を改編して、観光・物産振興課というものを新設しております。ぜひ物産と観光をセットにして、観光振興の面からもより積極的に取り組むべきだと思いますが、御意見をお聞かせください。

◯武濤観光・物産振興課長 御指摘のとおり、近年、学習や体験型の観光に対します人気が高まっておりまして、伝統的な産品の生産現場は、それ自体が大変有力な観光資源となります。県では、県内の魅力的な物産と観光を組み合わせた体験型・着地型観光ルートをつくるなど、物産と観光を一体的に推進しております。例えば、筑後田園都市推進協議会が実施します観光体験ツアーへの線香花火づくり体験などを取り入れまして、また、国内外での旅行博やウエブサイトでの和紙づくり、人形絵つけなど、体験型観光資源のPR、情報発信を行っております。

◯板橋 聡委員 県としてもルートづくりに具体的に取り組み始めていることはよくわかりました。
 しかしながら、このような伝統産業をやっております事業所は、規模が非常に小さい、弱小なんですね。それでも、この伝統産業の意義をぜひ多くの方に広めていきたいという情熱、熱意だけで、一生懸命受け入れ体制をとって、観光客が来られたらいろいろなガイド役を自分で買って、頑張っていらっしゃるというところがほとんどでございます。そういう意味でも、観光資源としてのPRも行いながら、本業の事業性を継続させて、さらに売り上げを図るという意味では、余り事業者さんに負担がかかるというのがあっては、逆に本末転倒になってしまうと思います。ですから、そういう意味では、実情に合った、きめ細やかな支援が必要だと思いますけれども、それに関してどのような支援が考えられるか、お答えください。

◯武濤観光・物産振興課長 私どもも、伝統的な産品の作り手の方々にいろいろお話をお聞きしております。その中で、皆さん、自分たちがつくられます産品を多くの方々に知ってほしいとの思いから、仕事の合間に観光客の受け入れをしておられるとお聞きしております。ただ、確かに御指摘のとおり、現場の方々の負担を考えますと、観光客の誘致を進める場合には、現地の案内や産品を説明する資料など、受け入れ体制をきちんと整備していくことが必要であります。
 このため、県が今後、産地の紹介パネルやパンフレットなど、いろいろな観光展や物産展などで産地と協力してつくっておりますけれども、こういったものを今後つくるに当たりましては、地域のそういった実情にも応じまして、単に展示会とかだけで活用するだけではなくて、後に現場でも個別に使えますように、その盛り込む情報、デザインであるとかをしっかり工夫してまいりたいと考えております。
 また、個別の産品の希少性、価値を伝えるボランティアガイド、あるいはずっと添乗していかれるガイド、そういったガイドを育成しまして、観光客を受け入れられるように支援してまいります。さらに、地域が行う観光資源の磨き上げや、環境整備などを支援する県の事業として、「地域の魅力を磨く観光地づくりモデル事業」等がございますけれども、そういった事業の活用を、地元市町村や観光協会等に対しまして、しっかり働きかけてまいります。

◯板橋 聡委員 やはり、こういったところは県の知恵が必要だと思います。市町村でどれだけやろうとしても、事業者でやろうとしても、人もいなければ知恵もなかなか少ないと。ここはやはり県でしっかりと支えていくことが大事だと思いますし、そのためには必要なお金も投入していただかなければいけないと。この両方をしっかりやっていただきたいと思います。
 知事は、この質問を最初させていただいたときは、中小企業振興課のほうで一元的な、伝統工芸の対応をワンストップの窓口にするということで言われておりましたけれども、今年度から観光・物産振興課という形で、まさに名前と事業が一体となるような組織ができたと私は思っております。ぜひ、これが福岡県の物産・観光の振興の目玉になるようなおもしろい取り組みを今後やっていっていただきたいと思いますけれども、そこに向けて、ぜひ部長の決意を聞かせていただきたいと思います。

◯松尾統章委員長 今村商工部長。

◯今村商工部長 先ほど委員から御指摘いただきましたとおり、こういう地域で受け継がれてきた伝統的な産品といいますのは、やはり一度途絶えてしまうと、その復活は非常に困難であると認識しております。そういうことで、今現在、指定の品目にまだなっていないところも、広く制度の周知を図って、ぜひとも指定の拡大に向けて検討していきたいと思っております。
 伝統工芸品につきましては、従来からいろいろな、我々、販路拡大の取り組み等々を行っておりますけれども、やはり、それだけでは限界がございますので、そういう点では観光と一体となった振興を進めていきたいと思っております。県の観光のパンフレットにもどんどん載せていきたいと思っていますし、いろいろな施設を活用した展示もやっていきたいと思っています。何より、やはり地域の観光ルートなどに組み込んでいくことによって、より一層、地域の取り組みが盛り上がり、また実際、なりわいとされてある事業者の皆さんの、少しなりとも収益の拡大につながっていくような取り組みを行っていくことが大事だと考えております。そういった取り組みを進めまして、本県に今残っております、本当に貴重な伝統的な産品の振興をしっかり進めていきたいと思っております。

◯板橋 聡委員 これは商工部だけではなく、社会科見学で教育庁のほうとかかわったり、あるいは原材料で農林水産部とかかわったり、いろいろな部署とかかわりがございます。ぜひ、その司令塔としての役割を果たして、ますます伝統産業の振興、維持に努めていただきたいと思います。
 終わります。(拍手)

一般質問終了、議場での黙祷

昨日、無事一般質問が終了しました。今回はみやま市の木蝋や天然樟脳を例に、伝統産業の維持・振興をテーマに質問を致しました。
録画中継は3月15日頃からこちら(click!)で公開されます、また正式な議事録が上がってくるまでは質問原稿をこちらに公開しておきます。

特に今回問題視したのは、「存亡の危機にある伝統産業を県として把握する仕組みが無い」「伝統産業について広範な部署が様々な政策で関与しているが、それを取り纏めする窓口が無い」の2点でした。

知事からはそれらに対し

(1)現在ある特産民工芸品の指定制度を活用して、希少性の高い伝統産品の実情把握を行う。
(2)伝統産業の維持・振興は今まで広範な部署が政策目的に応じて支援を行っていたが、新たに商工部中小企業振興課を窓口にして各部署との連携を図り、伝統的な産品の支援に努める

と回答を頂きました。特に窓口を作って頂いたのは大きな進歩だと思います。今までは市町村や担い手の方が伝統産業の維持・振興の相談を県にしようにもどこに相談して良いか分からなかった問題が解消されます。また伝統産業に対する事業を行っている部署同士が連携を図り、効果が一層上がる事を期待します。

Facebookなどでお伝えしておりましたが、3月11日は東日本大震災から丁度2年目。福岡県議会でも午後2時46分に議場で黙祷を捧げました。私の質問は黙祷直後でしたが、黙祷の厳粛な雰囲気が心に残ったままでどうもテンションが上がらず、口も滑らかに回らずお聞き苦しい点があったかもしれません。
その様子が朝日新聞の地方面に掲載されていました。
20130312朝日新聞震災議会黙祷記事

記事の中で、私が質問の前に発した決意の言葉も取り上げて頂きました、有り難うございます
20130312朝日新聞震災議会黙祷記事2

がんばろう日本、がんばろう県南の気持ちを忘れずに今後も福岡県議会の立場から震災復興のお手伝いをしてまいります。

平成25年2月議会一般質問「伝統産業のレッドデータ」

3月15日頃から公式動画にて質問内容と知事答弁が動画で確認出来ます。
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◯十一番(板橋 聡君)登壇 先ほどの黙祷により、震災復興への思いを皆様とともに新たにさせていただきました。皆さん、ともに頑張りましょう。自民党県議団の板橋聡でございます。
 福岡県では、絶滅の危機にある野生生物をリストアップし、保護や保全に結びつけることを目的としたレッドデータブックを作成しておりますが、今回は、伝統産業のレッドデータというテーマで質問いたします。
 みやま市には木ろうと天然しょうのうという伝統産業が存在します。ハゼの木の実から生産される木ろうは、ろうそくや医薬品、化粧品の原料として幅広く使われ、徳川吉宗が一七一六年に行った享保の改革でハゼの木の栽培が奨励されると、柳川藩、久留米藩、福岡藩を初めとする国内多くの地域にて競って栽培されました。幕末の久留米藩を例に挙げますと、久留米絣の生産高九万両に対し木ろうは三十六万両、輸出高は種油に次ぐ二位と、ハゼの木が生む木ろうは財政を支える重要な産物でした。一方、クスの木から生産される天然しょうのうですが、日本では一七〇〇年ごろから生産が始まり防虫剤として有名でしたが、海外では薬品や香料として重宝されました。江戸末期には木ろうと並んで薩摩藩、土佐藩を初めとする多くの藩の財政を支え、貿易で巨額の富を生み、日本専売公社の報告には、この資金によって維新の大業をなし遂げられたと評されています。その後しょうのうは、土佐が開発した土佐式と呼ばれる製法で飛躍的に生産が伸び、しょうのうを材料とするセルロイドの発明により世界市場で日本のしょうのうが引っ張りだことなり、この貿易取引がもたらした富によって賄った軍艦が、日露戦争においてバルチック艦隊を打ち破るのです。かようにアジアの端っこの閉ざされた小国だった日本が国際社会に名乗りを上げ、開化期を迎え、そして西欧列強の植民地支配に一矢を報いることを財政面で支えたのが木ろうと天然しょうのうなのです。しかし、そんな隆盛を誇った木ろう、しょうのうは、石油由来の化学製品によってその地位を追われ、今では木ろうの生産工場は国内わずか四カ所。天然しょうのうに至っては、土佐式製法を継承している工場は何と世界でただ一カ所となってしまいました。それぞれの工場が福岡県みやま市に辛うじて現存しているわけです。
 ここで視点を変えましょう。地球温暖化など環境の変化や、外来種の移入により地域の生態系のバランスが壊れ、絶滅の危機が危ぶまれる動植物が増加しています。これを守る努力が必要なのは持続可能な社会を構築するためにもはや常識であります。私は、日本の歴史の転換点にかかわり、地域の暮らしや文化を担った伝統産業が、時代の変化、イノベーション、経済のグローバリズムで移入してきたどうもうな外来産品、外来企業などにより先細り、まさに絶滅の危機に瀕している様子を見るにつけ、動植物の生態系の破壊を目の当たりにしているような思いであります。
 ここで知事に質問です。このような希少価値の高い伝統産業は、一度途絶えてしまったら復活することは非常に困難です。歴史や伝統に根差し、郷土愛をはぐくみ、地域に活力を与えてきた、つまり知事が繰り返しおっしゃる、福岡に生まれてよかったという意識を醸成する観点からも、希少価値の高い伝統産業は維持、振興されるべきと考えますが、知事の所見をお聞かせください。
 また、みやま市に限らず他地域にも同様の希少価値の高い伝統産業が多数存在すると思いますが、県として市町村と協力の上、まさに伝統産業のレッドリストをつくらなければ、そもそも保護すべき対象も把握できないと思いますが、知事の所見をお尋ねします。
 保護、保護と言うと、よほど魅力がないのかという誤解を生みそうですが、私は今回の一般質問に当たり、さまざまな部署とお話をさせていただきました。そこでわかったのは、予想外に多くの部署が伝統産業にかかわっているということです。例えば木ろうについて、農林水産部では、木ろうの原料であるハゼ栽培に対し中山間地支援や農家所得向上の視点から、今年度より助成事業を行っています。商工部では、産業観光の一つとして木ろうメーカーである荒木製蝋がエントリーされています。それ以外にもハゼの紅葉が地域観光資源になったり、現在全生産高の九〇%が輸出される木ろうが県産品輸出振興の対象となる可能性もあります。企画・地域振興部では、まちおこしの視点からちくご元気計画においてみやま市の木ろうを取り上げています。またこの木ろう工場は、現在地元小学校が社会科見学で訪れており、教育の視点からの活用や文化財指定などの対応から教育庁のかかわりも期待されます。
 これだけ多くの部署が少しずつかかわっている、あるいは今後関与する可能性を認識しているということは、やはり伝統産業の持つポテンシャルは、いわゆる商業的成功にとどまらず、県民幸福度日本一の施策にさまざまな側面で可能性を秘めていると言えます。一方、これらの部署は全く連携がとれておりません。当初、伝統産業の総合的な振興について各部署に相談したところ、見事にどの部署も、ここまでは私どもがやっておりますが、これこれは他の部署でやっておりましてと見事にたらい回しを食らったわけです。小川知事におかれましては、このような縦割り行政に関する弊害是正について理解を示し、改善の努力をされていると私はひそかに評価しています。就任後わずか二年の中で、農林水産部、環境部、保健医療介護部にまたがっていた鳥獣被害対策を畜産課に一本化されたり、中小企業の海外進出をワンストップで支援するアジアビジネスセンターを、これは県が運営すべきかどうかについては議論の余地があると思いますが、設立されたりしました。特筆すべきは、新社会推進部において今年度始まる性犯罪被害者に対するワンストップ支援推進事業です。これは性犯罪被害者が相談窓口、医療、司法、警察などの各機関で繰り返し説明させられることによる被害者負担を軽減させることが目的の一つです。まさに、たらい回しを防ぐ県民視点の事業であります。
 そこで知事に質問です。伝統産業の担い手、その維持、振興を目指す市町村は、知恵、経験、人、金が不足しています。やはりここは県においてノウハウを蓄積し、総合的な対策を打つことが重要です。そのためにも、まずは全体を俯瞰して情報の交通整理ができるワンストップの窓口をつくるべきと思いますが、知事の所見をお聞かせください。
 以上、知事のリーダーシップあふれる答弁を期待して、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)

◯議長(松本 國寛君) 小川知事。
*知事答弁

◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
 木ろうなどの伝統的な産品についてでございますが、御指摘のありました木ろう、天然しょうのうなどの産品は、長い年月にわたりまして人の手を通じて技術、技法が後世に受け継がれ、地域の歴史、風土を今に伝えるものでありますけれども、一方で、生活様式の変化、あるいは安価な輸入産品の増加によりまして需要が減少している状況にございます。しかしながら、近年こうしたものは天然の素材を用いた環境に優しい製品といたしまして、再評価をされ出しております。このため、木ろうを化粧品の原料として海外に輸出をしたり、しょうのう製造時に発生いたしますクスノキ油をアロマオイルとして発売するなど、新しい販路拡大、製品の開発につなげていく取り組みというものが、これからますます重要になるというふうに考えております。
 これらの伝統的な産品の実情把握についてお尋ねがございました。本県では、五十年以上の歴史を有する伝統的な技術や技法により生産されました産品を対象にいたしまして、申請に基づいてこれらを特産民・工芸品として指定する制度というものを設けております。八女手漉和紙でありますとか、うきは市の棕櫚箒など、現在三十品目を指定させていただいておりまして、その振興を図るため、県庁あるいはアクロス福岡での展示、PRに努め、県のホームページでも広く情報提供しているところでございます。今後は、この指定制度の周知徹底というものを図りまして、新たな指定品目の掘り起こしを市町村と協力して積極的に行っていきたいと考えております。木ろうや天然しょうのうなど希少性の高い伝統的な産品につきましても、その実情を把握するよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、木ろうなど伝統的な産品の支援窓口の一元化についてでございます。今申し上げました産品につきましては、例えば木ろうの場合、和ろうそくの製作体験に人が集まるということで産業観光、あるいは地域活性化の資源となりまして、ハゼや木ろうを使った六次産業化の素材ともなります。県では、このように、先生もお触れになりましたけれども、それぞれの部署がそれぞれの政策目的に応じて支援を行っているところでございます。これからは、先ほども申し上げました特産民・工芸品の振興を担当いたしております商工部中小企業振興課をワンストップの窓口といたしまして、各部署との連携を図りながら、またそこにノウハウを蓄積しながら、伝統的な産品の支援に努めてまいります。