予算特別委員会が佳境です

3月15日から予算特別委員会が開催されています。私は2011年7月以来2度目の予算特別委員として2013年度の福岡県予算について慎重審議しております。
昨日まで既に3つの質問をしましたので簡単に内容と執行部からの回答を纏めておきます:

3月18日「実態に即した自殺対策について」
福岡県ではゲートキーパーの養成を自殺対策の主軸に据えていますが、自殺対策推進を目指すNPO法人ライフリンクが纏めた自殺実態白書2013などを参考に、自殺の危機要因を分析の上効果の高い職種(弁護士、司法書士、葬儀社等)を対象にゲートキーパーの養成を行い、事業効果を高めることを求めました。執行部からも同意を得て、今後どの団体に対し行うかを検討したいとの事。

3月19日「子育て支援・県と企業の包括提携について」
子育て支援については、専業主婦の社会参加に着目し、専業主婦故社会参加しようとすると託児の問題が発生することを指摘。県のセミナーなどから託児コーナーを設ける事を提案。また民間含めた諸団体が子育て世代の女性向けにセミナーなどを行う際、託児コーナーを設置しやすいよう何か方策を検討するよう要請。まずは県の行事から託児コーナー設置を行い、市町村にも要請していくとの回答。また託児コーナーの普及のために県が行っている「子育てマイスター制度」を積極活用し、制度設計を行うとの事。
県と企業の包括提携に関しては、昨年6月議会及び決算特別委員会での指摘を踏まえ、新たに締結されたローソンとの包括協定が公平・公正を損なっていないか確認。中小企業が置いてけぼりにならないよう県側も汗をかくよう合意。また、ローソン始め、今後協定を締結したり、更新する企業とは、社員に対し地元自治会に加入を呼びかけるように要請すること約束しました。これは県としては画期的な事だと思います。

3月19日「園芸施設へのチップボイラーの推進・農地の湛水被害を解消する防災減災対策について」
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原油高・円安のトレンドの中、省エネ事業として県が検証を行う「園芸施設ハイブリッド暖房システム(福岡方式)モデル」を一刻でも早く実施に向かわせるようスピードアップするよう要請し、執行部からも同意を得ました。
また、湛水防除につき、県単独予算を引き続き付けて推進することを要請。現在県土整備部、農林水産部、水産局等に分かれている水害対策を統括する窓口を作るよう要請。こちらは今後継続して要請をしてくつもりです。

政権も交代し、自民党県議団としても無責任な批判だけはできませんので、しっかりと実を取る質問になるよう頑張っています。
21日は、県土整備部に対し迅速な復旧復興を進めるための組織体制づくりに関して質問します。また22日は教育庁に対し、体罰に関する質問を行います。

一問一答の予算特別委員会はじっくりと議論するのには適しておりますが、堂々巡りにならないよう問題点を明確にし、執行部から明解な後で検証できる答弁を引き出すことが必要です。
その為にはこちらもしっかり勉強が必要で、今回のように途中で祝日が挟まると助かります。
議員の仕事というと、議会に出ているだけが仕事と勘違いしている方もいらっしゃいますが、あくまで議会や委員会は最後の仕上げの場で有り、そこに向かうまでの地元の意見集約、会派における議員間の調整、執行部からの情報収集と粘り強い折衝が無ければ成果は得られません。断言します。そういう部分はなかなか公にし辛い部分も有りますが、直接質問頂ければ出来る限りお答えしたいと思います。

一問一答形式の予算委員会は録画中継がありません。また正式な議事録が上がってくるのに何ヶ月か時間が掛かりますが、公開次第ご紹介しますので、興味の有る方は是非ご覧下さい。
ということで、やっと昨年の決算特別委員会で行った私の質問の議事録が公開され始めました。私のホームページの「議会における活動」コーナーにてご紹介しています。

下記3つの質問が公開されています:
平成23年度決算特別委員会質問
2012年10月30日「自主防災組織の育成と災害時の情報収集」
2012年11月2日「福岡県の海外戦略」
2012年11月6日「県と私企業の協定について」

平成23年度決算特別委員会質問「県と私企業の協定について」

◯板橋 聡委員 皆さん、こんにちは。自民党県議団の板橋聡です。
 六月議会にて質問しました県とイオンとの包括協定について、知事から答弁をいただきましたが、県民に対して胸を張って説明できるような内容ではございませんでした。今回、一問一答形式で県と私企業の協定についてただしていきたいと思います。的を射た簡潔な答弁をお願いします。
 多くの企業が社会貢献を行っている中で、イオンとの包括協定の目的と意義を教えてください。

◯冨田徳二副委員長 重松社会活動推進課長。

◯重松社会活動推進課長 実は、イオンから県に対しまして、地域社会への貢献を進めたいということで、昨年の十一月に県に対しまして社会活動協働事業を行うための包括的な提携の申し入れがございました。イオンの場合、当時、既に三十七の都道府県と取り組んでいたことがございますものですから、中身を各部の関係課と協議をいたしまして調整をいたしましたところ、いずれの内容も個別に結んでいくことができる非常に幅広い内容だったということで、私ども、今回、包括的に協定を結ぶという状況となったところでございます。

◯板橋 聡委員 余り目的にも意義にもなっていないと思うんですけれども。個別の社会貢献について協定を結んでいなくてもいろいろと協力していただいている企業はたくさんございます。逆に言うと、どうして個別に社会貢献している企業とは協定を結ばないんですか。

◯重松社会活動推進課長 一つは、やはりこの社会貢献活動は企業さん方の自主的な活動でございますので、常日ごろから私どもの職務として社会貢献の活動に取り組んでいただきたいという促しはしておりますが。実際に私どもに提案があるという状況が、今回イオンから提案がございましたが、今後もしそのような申し出がありましたら、ぜひとも前向きに取り組んでいきたいと思っております。

◯板橋 聡委員 イオンとの包括協定に関しては、提携事項として、地域防災の協力に関すること、地域の安全安心に関することとあります。同様に、イオン九州は福岡県と災害時の物資の供給に関する協定書を結んでいますけれども、七月十四日の九州北部豪雨の際に被災地に物資供給を行った会社はどこですか。藤山防災企画課長、教えてください。
    〔正副委員長交代〕

◯原口剣生委員長 藤山防災企画課長。

◯藤山防災企画課長 被災地からの要請を踏まえまして県のほうから要請をいたしましたのは、ローソンでありますとか、セブンイレブン・ジャパンといった企業でございます。

◯板橋 聡委員 全部ですか、それで。

◯藤山防災企画課長 東筑軒、それから、北九州駅弁当、クラウン製パン、中屋フーズ、リョーユーパン、大福、ローソン、セブンイレブン・ジャパン、ファミリーマートでございます。

◯板橋 聡委員 雨の日にイオンは傘を貸してくれましたでしょうか。
 次の問題点は、包括協定の期間です。このイオンとの包括協定の第四条を読みますと、双方から申し出がない限り協定は自動更新ということで、毎年更新されるようになっております。
 一方、七月十四日の九州北部豪雨以降、被災地の応急処置のために二十四時間体制で頑張り続けた建設業者の皆様と締結している風水害時の緊急対策工事などに関する協定、略して風水害協定、こちらの有効期間はどうなっておりますでしょうか。横枕課長、正確にお答えください。

◯原口剣生委員長 横枕企画交通課長。

◯横枕企画交通課長 風水害時の協定につきましては、例年、六月一日に協定を締結し、翌年五月末までの一年間としております。

◯板橋 聡委員 期間を一年間に限定して、毎年新しく協定を締結しなくてはならない理由は何でしょうか。

◯横枕企画交通課長 風水災害協定を締結する建設業者には、集中豪雨などの厳しい条件の中で安全かつ確実に工事を実施していただかなければなりません。このことから、直近の工事の実績や技術力を審査し、建設業者の施工能力を確認する必要がありますので、一年という期間を設定しております。

◯板橋 聡委員 福岡県民の多くが愛するソフトバンクホークスは過去はダイエーホークスと呼ばれていました。そのダイエーですら二〇〇四年に経営破綻して産業再生機構送りになっております。最近、再上場を果たしたJALは、国策企業だったにもかかわらず経営破綻、オリンパスは不正経理処理であわや上場廃止とささやかれました。超一流と言われる企業でも一寸先は闇。毎年協定を締結し直すことで、協定先が協定を結ぶに値するのかどうかと確認作業を行う県土整備部の姿勢は県として当然だと考えます。一方で、イオンとの包括協定は自動更新と。県の態度としてはちょっとこれは怠慢ではないか。また、これは企業によっての不公平感を物すごく感じます。
 続きまして、イオンとの包括協定の一環として発行された電子マネーカード「ふくおか共創WAON」カードについてお尋ねします。
 プレスリリースと新聞記事の資料要求をさせていただきたいと思いますので、委員長、お取り計らいをお願いします。

◯原口剣生委員長 お諮りします。
 ただいま板橋委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕

◯原口剣生委員長 御異議ありませんので、本委員会の要求資料といたします。
 執行部に申し上げます。ただいま板橋委員から要求がありました資料について提出できますか。

◯重松社会活動推進課長 はい、直ちに提出いたします。

◯原口剣生委員長 資料を正副委員長に確認させてください。
    〔資料確認〕

◯原口剣生委員長 事務局は資料の配付をお願いします。
    〔資料配付〕

◯原口剣生委員長 資料が配付されましたので、板橋委員、質疑を行ってください。

◯板橋 聡委員 では、簡潔に説明をお願いします。

◯重松社会活動推進課長 お手元に三枚の資料を置かせていただきました。
 まず、一枚目でございます。これは本年四月十八日に行われました知事の定例会見の要旨でございます。発表事項は福岡県とイオン株式会社との包括提携協定の締結についてで、その要旨でございます。
 続きまして、二枚目をごらんください。二枚目の資料は、四月二十日に行われました福岡県とイオン株式会社との包括提携協定の際のイオン株式会社から記者へ提供された資料でございます。
 次に、三枚目です。これはこの包括協定を行いました翌日の四月二十一日の朝刊に掲載をされました記事でございます。

◯板橋 聡委員 その三枚それぞれに電子マネーカード、ふくおか共創WAONカードについて説明がございます。
 一枚目の真ん中あたりに、小川知事は「イオン株式会社と包括提携協定を締結することに合意しました。特徴は二点です」ということで、第一点は新たな電子マネーを発行し、その利用金額の一部を寄附すると。二枚目のイオン株式会社のプレスリリースの三段落目に書いてありますけれども、本協定の取り組みの第一弾として、ふくおか共創WOANカードを発行すると。三枚目はそれをもとにして書かれた西日本新聞の記事ですけれども、最初の一段目の五行目ぐらいから、「協定の一環として二十一日からは買い物金額の〇・一%が福岡県に寄附される電子マネーカードが発行される」と書いてあります。
 小川知事みずから、この協定の特徴とおっしゃって、イオン側も取り組みの第一弾として、その位置づけで大々的に電子マネー、ふくおか共創WAONカードを宣伝しているわけですね。
 寄附の定義というのは、寄附者がみずからの意思に基づき金銭、財産を対象機関、施設へ無償で供与することです。なぜ協定で寄附の枠組みをつくらなければならないのでしょうか。そのリスクを検討されたことがありますか、重松課長。

◯重松社会活動推進課長 今回、包括提携の申し出がありましたときに多くの事項が協定の中で示されたわけですけれども、その中の一つとしまして、このICカードを使って、私どもが取り組んでおります共助社会づくりに向けた地域での社会貢献活動に支援をしたいという申し出がありましたものですから、協定事項の一つとして受けとめたところでございます。
 この仕組みなんですけれども、委員御承知のように、イオンが独自でつくった仕組みでございまして、その収益の中から一部を地域に寄附するという仕組みを提示されまして、私どもは、今現在も企業さんが地域に寄附という形で貢献されるという形が広く広がっているものですから、その一つとして受けとめたところでございます。

◯板橋 聡委員 先ほど課長のお話の中にもあったとおり、企業の売り上げに連動した寄附というのは既にございます。博多に工場を持つアサヒビールはスーパードライ関連の対象商品の売り上げ一本につき一円を福岡の自然景観保全活動のために寄附されていますが、これについて協定は結ばれていますか。

◯重松社会活動推進課長 アサヒビールにつきましては、協定という形では結んではございません。

◯板橋 聡委員 ちなみに、イオンの初年度目標募金金額は幾らですか。また、同様に、アサヒビールの商品売り上げ連動のことしの募金金額は幾らですか。

◯重松社会活動推進課長 金額につきましては承知をしておりません。

◯板橋 聡委員 先ほど配っていただいたこの資料の中に書いてございますけれども、資料を見てないんですか。そちらが出した資料ですけど。

◯重松社会活動推進課長 新聞の報道でございますけれども、これは会見が終わりました後に、直接、記者の方がイオンさんにインタビューをされて答えられた、そういう数字だと認識しております。

◯板橋 聡委員 ただ、そちらにつくっていただいた資料ですよね。出していただくときに中身ぐらいは見て提出していただきたいと思います。まあ、余りこれは言いません。二百万円と書いてありますね。ちなみに、アサヒビールの商品の売り上げ連動のことしの募金金額に関しては大体千四百万円ぐらいということを私は重松課長から教えていただきましたので、これは一応、念のために言っておきます。以上を考えても、わざわざイオンと包括協定を結んで、雄県福岡県の私企業に対する公平性、公正性をおとしめるような必要はないと思います。福岡県が一私企業と適切な関係性を維持するためには、少なくとも協定期間を一年ごとの満期にし、毎年締結し直し、かつ福岡県とふくおか共創WAONカードはかかわりがないことを誰から見ても誤解のないよう明示することを求めたいと思いますが、長谷川部長、見解をお聞かせください。

◯原口剣生委員長 長谷川新社会推進部長。

◯長谷川新社会推進部長 毎年の契約の問題でございます。先ほど委員御指摘のとおり、このイオンとの提携については、その内容で更新について一年とすると。それを基本として、お互い協定の有効期限の満了一カ月前までに特段の申し出をしないときは、という条件つきで一年間更新する取り扱いとしているところでございます。
 それから、もう一点、カード自体が県とかかわりのないということの宣言といいますか、表明ということにつきましては、基本的には、これは資料の中の知事の記者会見でもありますように、私企業でありますイオンが独自の考え方で仕組みをつくって寄附をしたいという申し出によって協定したということでございます。その協定先は当然、県でございますので、県としては、県とイオンとの関係で言えばカードというのは一つの項目でございまして、そのほか広範にわたる協定をしているいわば協定のパートナーでございますので、これについて全く関係ないというお話を差し上げるというのは逆に誤解を招くのではないかと考えております。

◯板橋 聡委員 では、視点を変えて、電子マネーの法的位置づけを再確認させていただきます。
 電子マネーは国が発行してその価値を保証する通貨ではありません。サービスを提供する会社による私製貨幣の一種です。ふくおか共創WAONカードは、最初に前払い金をイオンに支払い、その前払いされた金銭価値を支払いの際に相殺するという仕組みです。銀行預金に適用される預金保険もふくおか共創WAONカードには適用外です。
 平成二十一年に改正された資金決済に関する法律により前払い金額の二分の一は供託金として保全されておりますけれども、残りの二分の一は保護されません。イオンがもし経営破綻した場合、ふくおか共創WAONカードの利用者から未使用前払い金の返還訴訟が起こる可能性があります。ふくおか共創WAONカード一枚当たり前払い金額の上限は幾らですか、重松課長。

◯重松社会活動推進課長 五万円でございます。

◯板橋 聡委員 ふくおか共創WAONカードのことしの目標の発行枚数は、イオンのプレスリリースによると五万枚と書いてございます。保護されない前払い金額は、理論上、五万円掛ける五万枚、イコール二十五億円の半分ということで、十二・五億円となります。こういったリスクは協定締結前に検討されたのでしょうか。

◯重松社会活動推進課長 リスクにつきましては、約款であるとかの内容は検討しましたけれども、今委員がおっしゃいましたような数字を含めたところの検討はしておりませんでした。

◯板橋 聡委員 もちろん福岡県はWAONの事業者でも発行者でもございません。ところが、ここで知事の記者会見とかプレスリリースが物すごくきいてくるんですよ。ふくおか共創WAONカードは福岡県とイオンの包括協定の特徴であり、包括協定の第一弾であり、包括協定の一環として表現されておるんですね。
 これは弁護士に確認したところ、こういう知事の発言、イオンのプレス、あるいは新聞記事をもとに福岡県がかかわっているカードであると認識して信頼してWAONカードをつくった消費者の期待は保護されるべきで、福岡県に対しては商法上の名板貸責任も発生し得るとの見解を得ました。つまり、住民訴訟のリスクを福岡県自体も抱えるということです。そんなリスクをはらんだ協定ですけれども、議会側に事前に相談はありましたか、長谷川部長。

◯長谷川新社会推進部長 企業との協働を進めていくということにつきましては本来の私の仕事だという認識から、まずはこういった枠組みが締結できるものかどうかということを詰めてまいりました。そういう意味で、あらかじめ議会にお諮りしたということはございません。

◯板橋 聡委員 では、誰が協定内容に責任を持ち、万が一、訴訟なんかが起こった場合、対応するのはどちらの部署になりますか。これは行政経営企画課長のほうでお答えください。

◯原口剣生委員長 大西行政経営企画課長。

◯大西行政経営企画課長 訴訟についてでございますけれども、通常、訴訟につきましては、担当する各課で対応いたしまして、私ども行政経営企画課といたしましては、助言でありますとか、顧問弁護士の紹介といったことで支援をしておるところでございます。

◯板橋 聡委員 つまり、社会活動推進課ということだと理解します。
 そして、ふくおか共創WAONカードで万が一、返還騒動なんかが起こって、県の相談窓口というのは消費者保護行政を担当している生活安全課と認識しておりますが、山下課長、生活安全課の所属する部は何ですか。

◯原口剣生委員長 山下生活安全課長。

◯山下生活安全課長 新社会推進部でございます。

◯板橋 聡委員 だから、当初は商工部と社会活動推進課、新社会推進部の利益相反を問題視しておったんですけれども、イオンとの協定というのは新社会推進部内ですら利益相反を引き起こしておるということなんですね。先ほど幾つか挙げましたけれども、これらの幾つかの重大なリスクを事前にきちんと理解した上で知事はイオンとの包括協定に小川洋とサインされたのでしょうか、長谷川部長。

◯長谷川新社会推進部長 協定を締結するに当たり、考え得る全てのリスクを想定して検討したということまではございません。やはりまずは企業との取り組みを具体的に進めたいということが一点、それから、私どもが提携した時点では都道府県で三十八番目でございましたので、こういう取り組みについて、他県の例も踏まえて対応したところでございます。そういう意味で、知事に、先ほど言いました想定し得る最大限のリスクはこうですという説明までは私はいたしておりません。

◯板橋 聡委員 他県がやっているから福岡もいいだろうというのはちょっと理屈としてはおかしいのではないかと思いますし、それを検討されなかったということに関しては非常に問題だと思います。これを知事自身がどう認識しておられるかというのは今の質問もあわせて確認しないとわかりませんので、委員長、これはぜひ知事保留とさせていただきたいと思います。

◯原口剣生委員長 ただいま板橋委員から申し出のありました知事保留質疑を認めることといたします。
 なお、知事保留質疑は十一月八日木曜に行う予定でありますので、御了承願います。

◯板橋 聡委員 終わります。(拍手)

平成24年6月議会一般質問「イオンとの包括提携協定について、攻めの環境政策について 」

20120622朝日新聞
公式動画へのリンク Windows Media Playerが必要です。スマホでも見られます。

一、イオンとの包括提携協定について
 1.企業と自治体との適切な距離感
 2.部署をまたがる利益相反
一、攻めの環境政策について

◯十一番(板橋 聡君)登壇 一般質問最終日のトップバッターを務めます自民党県議団の板橋聡でございます。通告に従いまして一般質問を行います。
 まず、イオンと福岡県の包括提携協定について質問いたします。四月二十日、イオンと福岡県は観光振興、地域防災など十四項目で協力する包括提携協定を締結しましたが、その内容から、私は県と一企業の距離感に疑問を覚えました。プレスリリースや新聞記事によると、その協定の一環として買い物金額の〇・一%が福岡県に寄附される電子マネーカードふくおか共創WAONカードが発行されるとのことです。寄附してくれるなんてありがたいことじゃないかと感じられる方も多いかもしれませんが、これは一般的な自治体への寄附と違った仕組みでございます。イオンはわざわざこの協定のためにふくおか共創WAONカードを発行し、このカードの決済金額を寄附金額と連動させることで、福岡県や関係者に対して、心理学で言うところの外発的動機づけを行っております。わかりやすく言えば、福岡県はイオンから鼻先にニンジンをぶら下げられたような状態ということです。
 共創とは比較的新しい言葉で、ともにつくると書いて共創です。福岡県では、麻生前知事が平成八年二月議会の所信演説で述べられた、豊かで活力あるアジアに開かれたふくおかの共創に端を発し、その後五年連続で議会冒頭の所信表明で使用された造語です。共創の精神は今も引き継がれ、本年度の県の事業においても新社会推進部にNPO・企業による元気なふくおか共創事業が存在しております。お気づきのように、今回、協定の一環で発行されると位置づけられたふくおか共創WAONカードに、県の事業名の一部が含まれております。イオン側からの提案だったそうですが、これは一般県民にとって、福岡県が発行しているかのような誤解や、県がお墨つきを与えたカードとの誤解を生じさせます。
 実は、イオンは既に約五十の自治体と同様の包括提携協定を結び、それぞれの地域でご当地WAONと称される、同じ寄附の仕組みを持ったWAONカードを発行しております。昨年十月のみずほ情報総研のレポートでは、これをWAONの普及拡大戦略と紹介し、地方自治体をパートナーと位置づけております。
 そこで知事に質問です。福岡県内に流通している電子マネーは、JR九州のSUGOCA、西鉄のnimocaなどまだまだたくさんございます。私は、一企業が運営する電子マネーの普及戦略に自治体が取り込まれている状態は、自治体の公平性、中立性を損なっていると考えますが、知事の所見をお伺いします。
 次に、部署をまたがる利益相反について質問します。イオンとの包括提携協定の所管部署は新社会推進部社会活動推進課で、目的は福岡とイオンとが相互に連携を図ることにより一層の地域の活性化及び県民サービスの向上を図るとあります。具体的には、県政情報を発信する専用ボードをイオン店舗に設置、イオンの店舗にて県のイベントを開催、そして先ほども言いましたが、ふくおか共創WAONカードを新たに発行してその売り上げの一部を県に寄附することになっております。しかし、言いかえれば、協定に基づき実施するこれら一連の内容は、すべてイオンの顧客囲い込み戦略に利するものです。一方で、商工部では、少子化や大規模小売店舗の進出により苦境に立たされている中小企業の振興や商店街の活性化を政策として推進しており、その観点で今回のイオンとの包括提携は、新社会推進部と商工部で明らかな利益相反を起こしております。
 今回、新社会推進部社会活動推進課に、この部署をまたがる利益相反の状態について認識を問うたところ、いま一つぴんときていないわけです。なるほど、それはそうだろうと。社会活動推進課は、みずからに与えられた職務分掌を忠実に推進しているわけで、彼らは商店街の活性化に思いをめぐらせ責任を持つ必要はないわけです。
 そこで知事に質問です。新社会推進部が独自の政策である企業、NPOとの協働を進めるために、今後も企業との提携、協定を通じた関係を広げようとする中で、その内容、メリット、デメリット、作用、反作用を庁内横断的に精査分析して、関連部署に通達し稟議するような仕組みがなければ、部署をまたがる利益相反、つまり新社会推進部以外の部局が、議会から認められた予算に基づき進めている政策の足を引っ張る可能性があることについて、知事の所見をお伺いします。
 続きまして、攻めの環境政策として大きく二点質問します。
 まず一点、生物多様性戦略のような環境政策は決して環境部だけで完結せず、幅広くすべての部局がかかわるもので、従来の縦割り行政ではその効果を存分に発揮できない可能性があります。例えば、農林水産部において平成十五年より福岡県減農薬・減化学肥料栽培認証制度という事業が行われております。これは化学肥料と化学農薬が県の基準量の二分の一以下で生産された農産物に県が検査を行い認証するもので、食の安全や農産物の付加価値向上に資するだけではなく、環境保全、特に水田のような湿地の環境が減農薬、減化学肥料により改善されれば生物多様性の維持に大きく寄与するわけです。この認証制度は平成十五年に始まりまして、当初は右肩上がりに栽培面積、そして認証農家戸数ともにふえておりましたが、平成二十年ごろから頭打ちになり、県内の耕地面積に占める割合は三%程度にいまだとどまっております。理由を聞きますと、技術的な問題や減農薬、減化学肥料の価値を認めてくれる消費者が広がらないというのが主な原因とのことです。この事業は説明のとおり農林水産部が所管しており、環境政策的意味合いも非常に大きいのですが、環境部の密接な関与は基本的にはなかったと聞いております。
 そこで知事に質問です、このような環境政策にかかわる具体的な事業は、環境部だけでなく庁内各部局で行われておりますけれども、その中で環境部が情報を集約し、必要あれば有識者の紹介やアドバイスを行い、関連部署と調整をして、今までコストセンターと見られがちだった環境政策から、福岡県の魅力向上、あるいは県産品の高付加価値化といった攻めの環境政策に進化させるべきと考えます。特に、みやま市を初めとする県南地域は生物多様性に深く関係する農業が重要な産業で、至るところに農地がございます。環境保全と経済発展または地域振興を両立させるような攻めの環境政策が待ち望まれるところです。知事の所見をお聞かせください。
 また、環境政策においては啓発が重要になります。県教育委員会においても、環境部を通じ県が進める環境政策と連携し、児童生徒の理解を深めるような教育を推進する必要があると考えますが、教育長の見解をお聞かせください。
 続きまして、攻めの環境政策二点目の質問として、矢部川水系の流況についてお伺いします。まず、東日本大震災の原発事故以降、クリーンエネルギーの活用が叫ばれており、その中でも水力発電はエネルギー効率がよいと言われております。矢部川には既に福岡一の水力発電を抱える日向神ダムがございますが、今議会の我が会派の質問でも触れられたとおり、ぜひ県内各ダムにおいても水力発電の導入を推進されるよう強く要望しておきます。
 そして私は昨年の六月議会、初めての一般質問にて、前職の県議の思いを受け継ぎ、矢部川水系の抜本的水源対策に関して知事にお尋ねしました。それに対し小川知事からは、利水ダムの検討まで踏み込んだ麻生前知事の過去の答弁を踏まえ、さまざまな方策について総合的に研究していく旨、御答弁いただきました。
 そこで知事に質問です。あれから一年、県としてどのような具体的な動きがあったのか、その進捗と今後の取り組みを御説明ください。
 以上、知事の明快な御答弁をお願いして、私の一般質問を終了いたします。(拍手)

◯議長(松本 國寛君) 小川知事。
*知事答弁

◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
 イオンとの包括提携協定についての私の認識でございます。県ではかねてから、共助社会づくりに向けましてNPO・ボランティアとの協働を初めといたしまして、企業に対しても社会貢献活動の取り組みを促してまいりました。今回、イオンから当県に対しまして、企業の地域社会への貢献という観点から、県との協働を進めていきたいと包括提携の御提案がありました。県では、庁内の各部、関係課におきまして、県民サービスの向上という観点から、それぞれの立場で精査をいたしました上で、県産品販売や地域の安全、安心、青少年の育成、そういった幅広い取り組みについての協定を締結したものでございます。この協定のもとで、県産品、まごころ製品の販売でありますとか、店舗での、議員御指摘のポスター掲示のためのボードの設置、広報紙等のいわゆる配架、棚に置いてもらう、そういった取り組みを具体的に進めていきたいと考えております。
 また、イオンが他の多くの道府県で行っております取り組みと同様に、御指摘の電子マネーカードの利用金額の一部を本県の共助社会づくりのために寄附するという提案がありました。この提案につきましては、企業が独自に寄附の仕組みを考案し、自主的に社会貢献活動として取り組むものであると、県が特定の企業活動を後押しするようなものではない、そのように考えております。また、収益に応じた寄附というのは、企業の社会的貢献活動の一つとして広く使われることでございますので、このカードの提案についても協定項目の一つとしたところでございます。
 それに関連して、県庁内部署にまたがる課題の対応でございますが、今回のイオンとの協定事項は、庁内の各部、関係課におきまして、それぞれの立場でどのような提携が適当か、これを精査し、検討した結果、総合的に判断をいたしまして、協定締結の決定をしたものでございます。今後とも、このような協定につきましては、各部、関係課の連携を密にいたしまして、施策の方向性、県が行っております各施策の方向性にそごを来すことがないように、分析や調整を十分に図りながら対応してまいります。
 攻めの環境行政ということで、環境行政における環境部と各部の連携についてお尋ねがございました。持続可能な社会づくりを目指していく上で、生物多様性の保全というのは重要な課題でございます。県が実施するさまざまな施策におきまして、この生物多様性への配慮が必要であると、このように考えております。県では、今年度、生物多様性を保全するための地域戦略、これを策定することといたしておりまして、現在、各部が実施する事業に生物多様性の視点が盛り込まれるよう、環境部が中心となりまして議論を進めているところでございます。
 当然その過程で、場合によっては専門家の紹介、そういったことも考えられていくわけでございます。これらの生物多様性に配慮した各部の事業が実施されますことで、ひいては議員御指摘にありましたように、地域や県産品のイメージアップにもつながっていくものと考えております。
 次に、矢部川水系の水資源対策にかかわる調査研究の進捗状況、私の答弁以降の進捗状況についてお尋ねがございました。矢部川水系の水資源対策につきましては、日向神ダムにかんがい期の農業用水を確保するとともに、そのダムの弾力的運用によりまして流量改善に努めてまいりました。また、農業用水が不足する場合には、筑後川から導水することができます筑後川下流用水による対応を関係市町や関係団体等と連携しながら行っています。
 議員から御質問いただきました昨年の七月以降の県の対応といたしましては、まずダムの弾力的運用で貯留いたしました八十四万立方メートルの水を、関係団体からの要請を受けまして平成二十四年二月十日から二十九日まで放流を実施いたしまして、矢部川の流況改善を図ったところでございます。また、筑後川下流用水につきましては、矢部川の流況が悪く、希釈用水が不足した場合に筑後川下流用水で補給することが昨年から可能となってございますが、県といたしましては、施設管理者である水資源機構と連携し、関係者にその周知を図ってきたところでございます。加えまして、弾力的運用で貯留した水の放流時に、矢部川河口域のノリの養殖に必要な栄養分の供給につきまして、昨年の九月からでございますが、五地点で調査を開始いたしておりまして、これまで調査の結果、放流水が栄養分の補給の増加に寄与している、そういった傾向が見られました。今後、この放流水がノリ養殖に効果があるか、そういったことなど、さらに確認をするために、二十四年度、本年度も調査を継続してまいります。

◯議長(松本 國寛君) 杉光教育長。
*教育長答弁

◯教育長(杉光 誠君)登壇 県の環境政策と連携した教育の取り組みについてでございます。環境教育は、人間の諸活動と環境との関係について理解し、環境保護、保全活動に主体的に参加するとともに、環境への責任ある行動ができる児童生徒を育成するための教育でございます。その中でも、学校における生物多様性保全の取り組みは、減農薬等による生産活動や河川の生態の調査など多岐にわたっております。これらは県の環境政策とも密接に関連しておりまして、環境、農林水産関係職員等を招き、実践に取り組んでおるところでございます。さらに、県の環境政策を実効性のあるものにするためには、その政策を正しく理解し、実践する児童生徒の育成が重要でございまして、今後とも環境関係部局と一層連携しながら、環境教育の充実に努めてまいります。

◯議長(松本 國寛君) 板橋聡君。

◯十一番(板橋 聡君)登壇 知事の答弁を受けまして、二点再質問をさせていただきたいと思います。
 イオンとの協定について、企業と自治体の距離感という観点で、知事の御答弁では、もうちょっと突っ込んだやりとりをしたいところですけれども、一般質問の場にはそぐわないので、それは特別委員会などにお任せして、今回、一点だけ再質問させていただきたいと思います。
 企業というのは、ベンチャー、中小そして一部上場企業、外国資本、世論の賛否が分かれる企業、そして反社会的企業まであり、ありとあらゆる形態がございます。また優良企業と思っていても、ある日突然トラブルが発覚して問題企業となる場合もあります。記憶に新しいところで言えば、アレルギー訴訟になったりだとか、食中毒だったりだとか、あるいは社長が使い込みをしておっただとか、そういうふうなニュースが皆さんの記憶にも新しいと思います。県が今回のような協定により直接企業との契約関係を結ぶ場合、現時点でどんな企業なら福岡県として契約してよいかという明確なガイドラインがないと聞いております。ガイドラインを設定する必要はないのでしょうか。その理由とあわせて、知事の所見を御披露お願いします。
 そして、矢部川水系の流況の調査研究について。新たに行っていただいた栄養分調査ですが、栄養塩は有明海の主要産業の一つでございますノリのできばえを左右する重要な要素でございます。特に、昨シーズンは、ノリの生産時期の前半に、非常にノリのできが悪かったんです。大凶作になるかということで大変危惧されておりました。しかし、後半に巻き返して、最終的には例年に近い出来高で終わったのは、ことし二月に行われた日向神ダムの早だめによる弾力活用放流が寄与している可能性があります。今後とも、そういう意味で栄養分調査は、経年変化を見きわめ、矢部川の流況安定がノリ生産に対し定量的に効果があることを確認するためにも、平成二十四年度以降も継続することを要望いたします。
 またここで二つ目の再質問ですけれども、昨年も申し上げましたが、農業、水産業、防火用水、観光、そして環境保全の観点から、筑後平野南部に恵みをもたらす矢部川水系の流況安定は、私の議員としてのライフワークとして取り組む所存でございます。県議会のミスター矢部川として、福岡県がさまざまな調査を行いながら抜本的対策を継続して検討することが肝要だと考えますけれども、知事の所見をお聞かせ願います。
 昨年の一般質問で矢部川水系の現地視察を知事に要望したところ、十一月三日に現地まで赴いていただき、ありがとうございます。しかしながら、白秋祭水上パレードのどんこ船からでは、なかなか現地の窮状も伝わりにくかったかと思いますので、矢部川水系の流量不足が一番深刻な、ノリ生産のピーク時にぜひ現地を訪れていただき、現場で苦慮されているノリ漁家を初めとする地元住民の生の声に耳を傾けていただけるよう、現場主義を標榜されている小川知事に切に要望させていただきまして、私の再質問を終了いたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)

◯議長(松本 國寛君) 小川知事。

◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
 まず第一点目、企業との連携協定に関連いたしまして、ガイドライン、御提案ございました。御承知のとおり社会経済情勢の変化というのは非常にスピーディーで、またその振幅大きいものがございます。またそれに伴いまして、市民の皆様、県民の皆様、国民の皆様のニーズも変化してまいります。意識も変わってまいります。そういう中で、やはり県民福祉の向上という観点から、当該協定を結ぶのがいいのかどうか、どういう範囲で結ぶのがいいか、それを考えていくのが基本だと思っております。そういう意味では、いろんな変化の中で機動的な対応をしていく、それを考えますと、今私どもやらせていただいておりますように、関係各部局におきまして連携をとりながら、それぞれの立場からしっかりその協定の内容を分析あるいは調整をして、県民の福祉の向上に資する形、あるいは資するものかどうか、これについてしっかり検討していく、連携をして取り組んでいく、そういう形がいいと思っております。
 第二点、矢部川水系の水源対策でございますが、御承知のとおり、矢部川の水というのは、流域の農業水ばかりでなくて、水産業あるいは掘り割りの水を活用いたしました防火用水といった水資源としても活用されております。流域にとって極めて重要なものであります。この水系におきます対策につきましては、今後とも必要な水資源の確保に努めるとともに、矢部川の水の効果的な使い方を初めさまざまな方策につきまして、議員いろいろ御指摘もありましたが、さまざまな方策につきまして引き続き関係部局が連携をとりながら、費用対効果などを含めまして総合的に調査研究を続けていきたい、このように考えております。