【超大作、ハワイ州友好議員訪問団視察備忘録】

1月17日〜24日までハワイ州友好議員団としてハワイ州ホノルル、ヒロ、コナを訪問、視察して参りました。
ちょっと時間が経ってしまいましたが、備忘録代わりに纏めておきます、が、無茶苦茶長いですのでご容赦下さい。

福岡県とハワイ州は1981年に姉妹提携をしました。当時は全米初の日系人州知事となった福岡県築上郡出身の日系二世ジョージアリヨシ氏、同じく全米初の日系人連邦下院議員で福岡県横山村(現八女市)出身の日系二世ダニエル・イノウエ氏ら多くの福岡県にルーツを持つ日系人がハワイ州の多種多様なリーダーとして活躍しており、様々な働きかけを経てハワイ州として初めての姉妹提携が福岡県になったとの事です。

翌1982年には福岡県議会とハワイ州議会が議会レベルでの国際友好親善促進の盟約を締結。その後ハワイ州議会が毎年1月に開会される州議会開会式に福岡県議会を招請するなど、互いの国を行き来し、多くの分野で交流を深めてきました。

今年はその盟約締結から35年となり、これを機会に友好関係を更に深化させるべく35周年記念式典や、ハワイ州に4つある福岡県人会の記念式典や福岡フェアを開催し、県からも知事、議長、日米友好議連議員、市町村、経済界などから参加者を募り大訪問団を結成しました。

私も日米友好議連事務局長を仰せつかっていた御縁も有り、3年振りとなる訪問団参加です。

○ ハワイ太宰府天満宮参拝
今回の訪問団には太宰府天満宮の西高辻宮司はじめとする神職・巫女の皆様にもご参加頂いておりました。記念式典では巫女の舞などをご披露頂きましたが、ハワイ到着し先ずは今回の訪問が実り多きものになるよう参拝をさせて頂きました。
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(ハワイ太宰府天満宮にて、太宰府天満宮の西高辻宮司と)
ハワイ太宰府天満宮はハワイ移住者の方々が移住先でも地元の天満宮にお参りしたいと、1952年に太宰府天満宮を勧請したものだそうです。その隣にはハワイ金刀比羅神社が棟続きになっています。初詣、七五三、餅つきなど暦毎の伝統行事が開催されて、日系人や在住日本人が集う場所となっています。ここに限らずハワイには至るところに神社やお寺が存在しており、その当時の移住者にとって故郷に想いを馳せ、心安まる場所になっているそうです。

○ ハワイ州知事表敬訪問
デービット・ユタカ・イゲ知事は2014年12月1日に史上4番目のハワイ生まれの州知事として就任。またジョージ・アリヨシに次ぐ2番目の日系人ハワイ州知事です。イゲ知事のルーツは沖縄で、沖縄出身としては初めての州知事との事。
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(州知事室にて表敬訪問)
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(レセプションにてイゲ州知事と小川知事と共に)

○ ハワイ州議会表敬訪問
Ronald Kouchiハワイ州上院議長、Joseph M Soukiハワイ州下院議長をはじめ、上下院両議会の多くの議員の皆様とご挨拶し州議会の開会式にご招待頂いていることに感謝の意をお伝えしました。Souki下院議長は3年前に訪問したときも議長であり、私の事も覚えて頂いておりました。
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○ ハワイ州議会開会式
福岡県議会訪問団、福岡県訪問団、市町村訪問団にて上院と下院の二手に分かれて出席をしました。
ハワイ州議会は日本の一般的な議会とは全く違う雰囲気で、誰でもすぐに入れるような開かれた雰囲気があります。開会式も型式ばったところがなく、過去の議会の功労者が上席に並んで、議員の家族や有力後援者が議員席の周りに椅子を持ち込み座っていたり、途中でコンサートが始まったり。その中で小川知事と中尾議長は議場内にご招待頂き、我々は傍聴席にてご紹介を賜る栄に浴しました。
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(ハワイ州議会の議場をバックに)
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(州議会に入場前の小川知事、中尾議長と共に)
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(満場の拍手で議場に案内される小川知事と中尾議長)

○ アリゾナ記念館
1941年12月7日の真珠湾攻撃で戦艦アリゾナは乗組員1177名のうち1102名が死亡し撃沈しました。その追悼を含め、真珠湾攻撃自体を記念する施設です。沈没した戦艦アリゾナの真上に建設されていますが、戦後72年経った今でも重油が船から漏れ出して来ています。訪問団として献花を行い、真珠湾攻撃の犠牲者を慰霊しました。
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○ ハワイ州政府 産業経済開発観光局 観光部門訪問
ハワイ・ツーリズム・オーソリティ(HTA)のCEOGeorge D Szigetiを初めとする皆様を訪問。観光行政について意見交換を行いました。ハワイが受け入れる観光客は年間860万人(内日本人150万人)。HTAは独立採算制でハワイ州から委託され、世界中に10のオフィスを持っています。4つのゴールとして(1)目的地としての格を上げる (2)安定した経済効果 (3)価値を上げる (4)観光客を増やす、を掲げます。観光地としての価値が上がるのは良いですが、逆に住宅不足が発生しており、Affordable Housing(価格を抑えた住宅)をどうするか州上院議員で議論されています。またカジノ誘致に関しては優先順位が低く、「ハワイは家族で楽しんで貰う観光地」という確固たるブランド戦略を持っているのが印象的でした。

○ ハワイ州政府 産業経済開発観光局 エネルギー部門訪問
Veronica Rocha再生可能エネルギープログラムマネージャーと面談。冒頭福岡が進める「新たなエネルギー社会の実現に向けた福岡県の取り組みに」について説明。一方ハワイにおいてはエネルギーは石油に頼らざるを得ない現状で、石油依存から脱却することが長期の目的です。ちなみに、カリフォルニア州では1kwあたり10セント程度の電気料ですが、ハワイ州では18セントと割高で、経済を圧迫する要因となっています。そこでハワイ州は2030年に電気使用量30%削減し、2045年には石油から再生エネルギーに100%転換すると目標設定しています。
しかしながら現時点でホノルルの街並みを見渡す限り、あまりソーラーパネルを目にしませんでした。尋ねてみると経済力がある地域は税控除制度などを利用して普及を促進しているが、今後は低所得者層向けの普及政策を検討する必要があるそうです。またコンドミニアムやマンションは複数オーナーの場合が多く、設置をするにも同意を取り付けるのが難しいとのこと。
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○ ハワイ・グローバル教育財団
DirectorのNikki Thompsonさん達と教育に関する意見交換。Nikkiさんは元々福岡県生まれでハワイに移住。青少年にハワイ州を中心とした国際交流のための教育プログラムを提供しています。日本からの受入を行う中で、特に大切にされているのは日本人としてのアイデンティティ。いくら国際化といえ、それは英語を話せることだけでなく、日本人としての文化・素養・道徳などをしっかりと身につけた上で初めて国際人になれるという信念のもとで活動されています。

○ ホノルル美術館
東洋美術部の日本美術キュレーターのStephen Salel氏と面談。ホノルル美術館が所蔵する浮世絵などの日本美術を福岡で展覧会が出来ないか等々の意見交換を行いました。
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○ ホノルル日本人商工会議所
会頭のDave Erdman、専務理事石原ウエーンT.氏らと面談。ホノルル日本人商工会議所は1900年(!!)に設立された歴史有る商工会議所です。会頭のDaveさんは全く日系ではないのですが総合マーケティングサービスやメディア事業をやっている会社のCEOでもあり、日本に支社があり取引含め日本とは関わりが深いそうです。2016年7月からホノルル日本人商工会議所の「メンバーを支援するメンバー」というミッションに基づき、日本ーハワイ間の異文化コミュニティーの交流を深め、ハワイのビジネスと経済の成長を目指していらっしゃいます。Daveさんの就任のタイミングで多くの役員が若返り、今後の新たな展開に期待をしているとの事でした。質疑の中で「トランプ大統領就任の影響は?」と聞くと、答えに躊躇する場面も。ハワイ州はご存じの通り民主党支持層が圧倒的に多く、訪問当時はトランプショックからまだ立ち直っていない、困惑しているような状況でした。
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○ 福岡フェア開会式
イゲ知事から頂いた「福岡県訪問団を歓迎するとともに、ハワイにて福岡県をPRするイベントを開催して欲しい」との招請状を元に、アラモアナショッピングセンター内白木屋イベント広場にて1月19日〜22日の4日間「福岡フェア」を開催しました。福岡の食の実演・試食として久留米のモヒカンラーメンさんが登場。県産品PRとしてあまおう・八女茶・お酒の試食・販売。伝統工芸品PRとして小石原焼・まごじ凧の実演や展示。文化公演として柳川の沖の石太鼓、太宰府天満宮巫女舞、アイドルグループによる若者文化の発信などが行われました。
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ジャバニャンの着ぐるみが登場していたのですが、実はハワイ州観光局が「妖怪ウォッチ」を起用したハワイのプロモーション活動を2015年から実施しており、ジバニャンはなんとハワイ州観光局キッズ親善大使でした(2017年3月まで)。ご存じの通り、ジバニャンは福岡県福岡市にある「(株)レベルファイブ」が産み出したキャラ。御縁を感じますよねぇ。
開会式には多くの日系人とくに福岡に縁のある方が多くご参集頂き、最後に山笠の地元から選出されている井上博行議員が「博多祝い唄」と「博多手一本」で締めたのは喜んで頂きました。
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○ 姉妹提携35周年記念式典・レセプション
州知事公邸であるワシントンプレイスでハワイ州・ハワイ州議会の主催で開催されました。
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ハワイ州側からはイゲ知事・知事夫人・御令息、ハワイ州議会のコウチ上院議長、スウキ下院議長、ジョージ・アリヨシ元州知事・夫人や、州議会議員・地元名士の皆様がお迎え下さいました。ご来賓として在ホノルル日本国総領事三澤康様、在福岡米国領事館首席領事ジョイ・ミチコ・サクライ様らがご来臨。
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福岡県・ハワイ州姉妹県州提携確認宣言への署名が小川知事とイゲ知事の間で交わされ、その後福岡県議会・ハワイ州議会 国際友好親善促進の盟約確認の署名が中尾議長と州議会上院・下院議長の間で交わされました。
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また姉妹提携35周年の節目にあたり、両地域の交流促進に顕著な功績があった個人・団体の功労者に対して両県州知事から表彰を行う事としました。
福岡県からはジョージ・アリヨシ元州知事やジョセフ・クロダ元上院議員、そして永きに亘り福岡県ハワイ州連絡調整員やハワイ福岡県人会会長を務めて頂いた諌山皓一氏など5名を表彰。
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ハワイ州からは盟約締結10,20,30周年の際に県議会を代表して盟約を調印した田中久也議員、藏内勇夫県連会長、原口剣生県議団会長、「ホノルル大蛇山を支援し、大蛇山を世界に発信する会」河野起實会長、ハワイ州の高校と1994年から交流を続けている福岡県立水産高校が表彰されました。

○ ハワイ福岡県人会創立60周年記念式典
先日PGAトーナメントであるソニーオープンが開催されたワイアラエ・カントリークラブにて開催。海外ではゴルフ場のレストランなどがレセプション会場になることが結構ありますね。
ハワイ福岡県人会はナガイ・フサヨ氏を会長とし、230名の会員を擁します。1957年に県人会が設立され、会員同士の相互交流を支えてこられる中、福岡県とハワイ州が友好姉妹都市になってからはほぼ毎年訪問している県議会訪問団との交流を進めて頂いています。
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功労者表彰や高齢者敬老祝いなどが行われるなか、訪問団の一員、小池邦弘県議会議員は友好姉妹都市締結を結んだ亀井光元福岡県知事の随行秘書としてハワイも訪れた方の御子息。小池議員から相撲にまつわる様々なグッズが景品として配られました。その中に、翌日初優勝した稀勢の里の手形も。頂いた方はきっと記念になったと思います。
オアフ島での公式行事はここまで。ここからハワイ島に渡りヒロ地区とコナ地区を訪問します。
最後はジョージ・アリヨシ元州知事がバスに乗り込んできてまでご挨拶を頂き、
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そしていつまでも大きく手を振り別れを惜しんでくれました。
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○ ハワイ島福岡県人会創立50周年記念式典(ヒロ)
ハワイ島は自分自身初上陸でしたがホノルルとは全く違う側面を持つ素晴らしい土地でした。
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(出迎えて頂いた能丸会長とクック事務局長)
1967年に設立され、現在は208名の会員数を誇ります。能丸会長は国立天文台ハワイ観測所で勤務する理学博士。また事務局長をつとめるクックさんは日系4世と、歴史は深いですが上手に世代交代し若い世代が引っ張る元気の良い県人会でした。会員208人中120人のご出席を頂き本当に和気藹々とした雰囲気の中で高齢者表彰と功労者表彰が行われました。このハワイ島県人会では2017年度に県費留学生として初めて1名の女性が福岡県に留学をする予定になっています。是非ルーツである福岡を肌身で感じて頂き、ハワイと福岡の友好を進める将来の要になって欲しいと思います。
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ハワイ州の中で最大の大きさの島がハワイ島。ヒロからコナはその端と端に位置しており、山を越えてバス移動ですが結構な距離がありました、途中キラウエア火山の火口を見たり、マウナケアの天文台の麓に立ち寄ったり、素晴らしい自然を満喫させて頂きました。それにしても標高4205m、私達は約2000m付近まで山道を登りましたがハワイなのにあんなに寒い場所があるとは思いませんでした。
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○ コナ福岡県人会創立50周年記念式典
最後の公式訪問はコナ県人会、大福寺曹洞宗ホールで開催されました。約150人もの県人会メンバーにご参集頂きました。ハワイ島県人会とおなじく1967年に設立され、ロナルド・ヒラタさんが会長を務めていらっしゃいます。
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お寺で開催されるだけに先ずは読経から始まりました。来賓祝辞などの後、昨年県人会担い手育成招聘事業で福岡市に滞在した中学2年生のオナカ・ジェイドさんの報告が行われ、ルーツである福岡に初めて訪れた感動が瑞々しく語られました。やはり自分で実際に行って、滞在して貰えれば、自ずと福岡に対する愛着が沸き起こるのでしょうか、ジェイドさんも日本の事が本当に好きになって頂いたようで、これから友達にももっと日本を宣伝したい旨の言葉があり、事業の有効性をはっきりと感じました。
また、コナ福岡県人会は日系人初のアメリカ航空宇宙局宇宙飛行士で、ディスカバリー号にて初飛行をした後、1986年にチャレンジャー号の事故で残念ながら命を落としたエリソン・オニヅカ氏を輩出しています。オニヅカ氏の祖父は福岡県うきは市のご出身。今回は特別栄誉表彰が与えられ、オニヅカ氏のご姉弟がご登壇。小川知事、中尾議長から記念品などをお受け取りになられました。
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(故エリソン・オニヅカ氏の御家族と記念撮影)
また、感動したのは余興です。大正琴の余興では福岡県の県民歌「希望の光」が披露されました。1970年に制定されたこの県民歌、議会でも取り上げられましたが昨今殆ど謳われることがなくなっていましたが、コナ県人会の方にとっては特別な意味があるんだと思うと、この点ちゃんと県としても今後の方向性を考えるべきだと思います。
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さらに、和太鼓のパフォーマンスが圧巻でした。今年の夏に来日して演奏を披露する予定らしいですが、大正琴といい和太鼓といい、日本人の我々が忘れてしまいそうになっている日本人の心を大切に引き継いで頂いてるような気がして感動すると共に我々も文化・伝統にたいする誇りを忘れてはならないと思いました。

来年は日本人がハワイに移住を開始して150周年を迎えるそうです。更なる大きな友情の輪がハワイ州と福岡県の間で広がる事を心より期待致します。
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