平成29年予算特別委員会・知事保留質疑「観光協会のDMO化に向けた支援について」「出会い結婚応援事業について」

◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋聡です。まずは、観光協会のDMO化に向けた支援についてお尋ねします。今回の商工部観光政策課とのやりとりの中で、観光協会のDMO化に向けて支援の道筋を表明していただきました。しかしながら、観光協会が収益を上げるには、腰を据えた継続的な支援が必要と考えますが、知事の決意のほどをお聞かせください。

◯井上忠敏委員長 小川知事。

◯小川知事 県といたしましては、各地域の観光協会がDMOとしての収益を上げ、また地域における観光振興の司令塔としての役割を十分果たしていくことができるよう、県の観光連盟と一体となりまして各地の観光協会のDMO化実現のために継続的な支援に努めてまいります。

◯板橋 聡委員 観光という視点で未来への質問をしましたけれども、続いて、今そこに横たわってる危機について質問させていただきたいと思います。ただ、その前に、本日の読売新聞に、福岡県は知事の顔写真つきで就職支援事業の全面広告を出されています。まだ来年度の予算も通過していない、事業も確定していない今日、きょう、県の事業について全面広告を出すというのは予算特別委員会をちょっと軽視している感じがしますけれども、予特の審議をどういうふうにお考えですか。

◯小川知事 予算を御提案申し上げ、その内容を説明させていただいて、予算をお認めいただいて、事業を遂行している、それが本来の姿だと思います。今回、全面広告が出ておりますけれども、新規の予算がどこまで入っていたかは、私はちょっと定かに今見ておりません。確認をさせていただきたいと思いますけれども、いずれにしましても、議会での御議論を踏まえて事業をしっかり遂行させていただきたいと思っております。

◯板橋 聡委員 最高責任者として知事がそこを把握されてないというのはちょっと不思議に思いますけれども、続けます。ふくおか子ども・子育て応援総合プランの予算措置状況について持ち込み資料のお願いをしております。お取り計らいをお願いたします。

◯井上忠敏委員長 ただいま板橋委員から申し出がありました資料の配付についてであります。資料の内容については理事会において確認しております。
 お諮りいたします。板橋委員申し出の資料を配付することに御異議ありませんか。
     〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕

◯井上忠敏委員長 それでは、ただいまより板橋委員から提出のありました資料を事務局から配付させます。
     〔資料配付〕

◯井上忠敏委員長 資料が配付されましたので、板橋委員、質疑を行ってください。

◯板橋 聡委員 これは執行部につくっていただいた資料なんですけれども、去年とことしの子ども・子育て応援プランに関する予算の比較と増減でございます。これについて、知事どういうふうに思われますか。

◯小川知事 私自身といたしましては、子ども・子育ての支援は大事な課題だと思っておりまして、一個一個の項目について精査をし、伸ばすべき点は伸ばす、そして全体としての額の確保に努めたつもりでございます。

◯板橋 聡委員 確かに全体として額はふえてるんですけれども、これはほとんど、見ていただければわかりますとおり、子供ができてからの支援なんですね。これはこれで大事だとは思います。しかしながら、少子化という意味では一丁目一番地、小川知事もよく言われております、若者が結婚したい、家庭を持ちたいと思って出会いがあり、結婚するということじゃないかと思っております。この予算では、一丁目一番地に当たる次代の親の育成と結婚応援の推進がばっさり削られておると。これでは、水道の蛇口を閉めてるのに、お水がたまらないと悩んでいるようなもんだと私は思うんですね。
 県はこれまで、若者の出会いの場を提供することを目的に、あかい糸メールとかさまざまな出会いイベントを実施してきています。その成果として、これまで八千六百組のカップルが誕生したと言いますけれども、その先の結婚については、結婚が個人の価値観によるものだからといった理由で、出会い後の成婚に向けた取り組み、その実績については明確な目標もなく、腰が引けているように感じます。本気で少子化問題に向き合うためには、職員はもとより知事自身が出会い後の成婚数について責任を持って取り組んでいくという気概が必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。

◯小川知事 確かに御指摘のとおりでございまして、県民意識調査によりますと、結婚する意思を持ちながら若者で結婚されない理由は、適当な相手にめぐり会えないからということが非常に多うございます。このため、成婚数をふやすためには、まず若者たちに出会いの場を提供する、カップリングによる結婚へのきっかけづくりを行うことが最も重要であると考えまして、これまで出会い・結婚応援事業に取り組んでまいりました。
 そのため、まずは出会いの場を提供しよう、また、カップルの成立に主眼を置いた取り組みを進めてきたわけでございますが、今、御指摘ございました、今後はボランティアで若者の結婚を応援していただいております福岡結婚応援サポーターによります、イベント後、出会いの場、これを実施した後のアフターフォロー、そういったことなど、成婚も念頭に入れたフォローアップに力を入れてまいりたいと思っております。また、これに加えまして、来年度は、デートにどう誘えばいいかわからない、会話が続かないといった声も寄せられておりますので、新たにコミュニケーションスキルアップやマナーアップ講座など、交際の発展をサポートするセミナーを開催をいたしまして、カップルとなった方々がより成婚につながっていくよう支援をしていきたいと思っております。

◯板橋 聡委員 では、成婚数に関する目標は掲げないということですか。

◯小川知事 結婚というのは個人の価値観に物すごくかかわるところでございます。そのために、成婚数それ自身に関する目標は今掲げておりません。しかしながら、二十七年度に策定をいたしました福岡県人口ビジョン・地方創生総合戦略におきましては、県民の皆さんが理想とするお子さんの数と実際に持つつもりの数の差の縮小、平均初婚年齢の上昇の抑制というものを目標に掲げ、施策の展開をさせていただいております。まず、それらの施策、目標の達成に向けて、しっかり取り組ませていただきたいと思います。

◯板橋 聡委員 人口ビジョン・地方創生総合戦略の二つの目標を先ほど言っていただきました。これは県の少子化対策で行っているさまざまな施策をもって達成を目指す最終の数値目標じゃないか、そして、そのさまざまな施策の中の一端を担うのが出会い・結婚応援事業じゃないかと私は感じております。だとするなら、出会い・結婚応援事業においても、イベントの参加者数とかいう途中経過的な状況に目標を立てるのではなく、成婚数について具体的な数値目標、成果指標を設定すべきじゃないかと思うんです。そうじゃなければ、知事として少子化対策の成果目標に対して腰が引けてるんじゃないかと。実際、このあかい糸めーるというのは、結婚したいなという人が出会いを求めてやるものですから、個人のどうのこうのとは関係ないんじゃないかと思うんですけど、そこら辺に関してはどういうふうに思われますか。

◯小川知事 よく結婚応援宣言、あるいは結婚を応援していただく企業の経営者へのお声かけを私自身もやっておるんですけれども、セクハラとかパワハラと言われることがあるとおっしゃる方もいらっしゃいます。そういう意味では、個人がどう思われるかということにかかわってくる部分もございますので、行政として成婚数を目標値に設定することにつきましては、私自身は慎重に考えなければならないかなと思っております。一方で、先ほど申し上げました目標。いろいろな施策を糾合した結果、達成されるべき目標でございますが、それを今やらせていただきながら、来年度はフォローアップ、アフターフォローに力を入れてまいりますので、そういった事業の取り組みの進捗状況も踏まえて、どのようなことができるか、成婚を念頭に置いたフォローアップ、その目標についてどういうことができるかを考えていきたいと思います。

◯板橋 聡委員 でも、結婚応援推進事業の予算が減らされてるんですよね。だから、こんな話になってると。
 続けます。市町村が行う出会い応援事業に対する補助事業について聞きます。地域少子化対策重点交付金は昨年に比べて七千万ぐらい、こんな大きな金額が減少してるわけです。上村子育て支援課長の答弁で、国の採択が厳しくて市町村からの申請が減少したことが原因との説明を受けました。そうであれば、なおのこと県が申請に向けた具体的な助言、指導をすべきじゃないかと思いますけれども、県として、国の予算を取り込んで全力で少子化対策をするという意欲が感じられません。この点についてどういうふうに思われますか。

◯小川知事 御指摘のとおり、市町村が取り組んでおります地域少子化対策重点交付金でございますけれども、今年度、御提案させていただいています予算は、昨年度、国の採択状況が非常に厳しかったということがありまして、現段階では市町村の要望額を計上させていただけるわけであります。県としましては、この掲げさせていただいております額、この採択に向け、責任を持ってしっかり支援をしていきたいと思っております。
 なお、この交付金でございますけれども、今年度を見ていきますと四回追加募集が行われております。二十九年度は国の予算額が増額されておりますから、追加募集が行われる可能性が高いと考えております。このため、県におきましては、この情報収集に努めながら追加募集に速やかに対応できるように、市町村に対しましてその要望を行うよう、引き続き働きかけを今続けているところでございます。
 今後の採択に向けましては、先進事例についての情報提供、また事業構築への助言を私どもから行わせていただきまして、県としてもしっかりこういった市町村の取り組みを支援し、一つでも多くの交付金の活用が進むよう、懸命に取り組んでまいります。

◯板橋 聡委員 これから頑張るということなんでしょうけど、二十九年度予算を見る限り、がっかりな数字なんですね。市町村は、先ほどの観光DMOの話でも言いましたけど、人も知恵も足りない部分があります。県がしっかり汗をかいて、知恵を出して市町村の支援をすべきだったんじゃないかと指摘をしておきます。
 昨年の予算委員会で、私は、子育てに理解のある子育て応援宣言企業へ働きかけることが結婚応援宣言企業をふやしていくことに有効ではないかと提案して、前部長と前課長に、両事業が相乗効果を十二分に発揮できるよう責任を持って取り組んでいくと約束をいただきました。にもかかわらず、そのような取り組みのもと努力しているとは到底思えないような成果、実績になっております。これは一体どういうことでしょうか。

◯小川知事 前部長、前課長が、子育て応援宣言企業と結婚応援宣言企業、この両事業が相乗効果を十二分に発揮できるよう責任を持って取り組んでいくと議会でお約束をし、引き継いでいたにもかかわりませず、今、御指摘のあったような結果になりました。非常に遺憾でございますし、申しわけなく思います。私自身は、前から申し上げておりますように、若者の結婚したい、あるいは子供を生み育てたいという御希望をかなえていくことは、県にとって重要な課題だと思っております。引き続き、結婚応援宣言企業の呼びかけ・協力について、子育て応援宣言企業を中心にしっかり働きかけを続けていきたいと思います。

◯板橋 聡委員 知事の答弁では、昨年、部長がお約束してくれた両課の連携にほとんど触れてないんですね。一つ指摘させていただきますけど、山口新雇用開発課長から聞いた話なのですが、子育て応援宣言企業というのがどこがすごいかと。これは二年に一回更新作業があって、そのたびにきっちりと宣言企業とコンタクトをとる、この仕組みがすばらしいんだと。ということは、昨年一年間で、単純計算すると六千社中の三千社が更新作業を行ってるんですね。その更新作業をしている三千社にはどういうアプローチをしたんだろうかと。三百社ほど訪問はされたと思いますけど、三千社にどうアプローチしたかがすごく気になるんです。これは、新雇用開発課は全く結婚応援宣言企業の開拓の手助けをしていないという理解でよろしいんでしょうか。

◯小川知事 これまでもそれなりの努力はしてきたわけでございます。結果としては出てないという意味では非常に遺憾であります。これからしっかりやりたいと思うわけでございますけれども、子育て応援宣言企業を拡大させてきたという山口新雇用開発課長のところの今までの取り組みとノウハウがございますので、今まで以上にそのノウハウを活用したい、連携を深めたいと。その上で、加えて、県と包括連携協定を結んでおります企業、また、地元企業が多数参加をいただいております就職フェア、説明会をやっておりますが、それに参加をされている企業、また、子育て応援宣言企業で二年間に一回の登録更新時期を迎えている企業、そういった企業に対しまして重点的に結婚応援宣言の働きかけを続けていきたいと思います。また、県や市町村における広報媒体を通じての呼びかけに加えまして、経済団体が持っておられます機関誌、メルマガを活用した情報発信や、それぞれの会合等の機会を使い呼びかけをやらせていただくことによりまして、地域と企業の理解を深めていって、結婚応援宣言企業の拡大に真剣に取り組んでいきたいと思います。

◯板橋 聡委員 微妙に外してあるんですよね。ずばり聞きますよ。六千社が二年に一回更新作業すると、年に一回、三千社ぐらいが更新作業をしに行くのは新雇用開発課ですよね。その三千社に対してアプローチをするというなら、新雇用開発課はしっかりと結婚応援宣言企業をふやすための努力をすると答えていただけるんですね。

◯小川知事 今申し上げましたように、これから重点的に取り組む企業の一つに、登録更新時期を迎えた子育て応援宣言企業ということを申し上げたわけであります。したがいまして、新雇用開発課、彼らが更新時期に一緒になって働きかけをしていくということでございます。

◯板橋 聡委員 しっかりお願いします。
 繰り返しますけれども、出会い・結婚応援事業を含めて、少子化対策については前部長、前課長からしっかりと前向きな答弁をいただいてるにもかかわらず、予算は減っている、新規事業や交付金の獲得の努力も足りてなかった、少子化対策の具体的な数値目標にも、先ほど知事おっしゃいましたけど腰が引けてる。縦割り行政で関連する事業をやってる課の横串連携もとれてなかった。知事、執行部のこの対応を最高責任者としてどういうふうに思われますか。

◯小川知事 常々、縦割りの弊害を除去したい、少なくしていきたい、連携を強化していきたいと考えておりますけれども、今御指摘のありましたように、今回の事業につきましてはなかなか思うように進展してないところがございました。非常に遺憾に思っております。これから関係課の連携を深め、いろいろな機会を使って呼びかけをし、結婚応援宣言企業の輪を広げていきたいと考えております。

◯板橋 聡委員 知事の遺憾の意はわかりましたけれども、少子化対策は県の将来、地域の活性化のために最も重要な課題です。一年対策がおくれれば十年効果がおくれると言われてるんですね。今回、今の知事のお話でも明らかになりましたけど、執行部の怠慢によって本年一年間おくれてるわけですよ。この出おくれをどう取り戻すか。そのやり方については、人をふやすとか、事業をふやすとか、予算を修正するとか、ことし出おくれた分、来年の予算を倍増させるとか、きっちりリカバリーするために知恵を出し、汗をかくのが執行部の役目だと思っています。
 知事、福岡県の少子化対策の一年間の出おくれをどう取り戻すか、お考えをお聞かせください。

◯小川知事 子ども・子育て支援全体の予算はふやしておりますけれども、事業それ自身においては進捗に差があります。おくれたところはそれを取り戻す。一年のおくれは将来もっと長いおくれになるという御指摘もありました。そこを肝に銘じまして、今、御提案をしております事業に魂を入れていくといいますか、しっかりやっていく。その状況も見ながら、来年度の対策はどう打つかについて、しっかり全庁挙げて、また連携をとりながら知恵を出す、汗をかく、それを基本に、今後の対応を急いでいきたいと思います。

◯板橋 聡委員 今、知事、魂をかけてとおっしゃいましたね。

◯小川知事 魂を入れる。

◯板橋 聡委員 魂を入れて。かけるわけではないですね。わかりました。魂を入れてもいいんですけど、私は、部長と課長から少子化対策頑張ると言われて十二カ月放置されていたんですね。その上、予算も減額された。今回、予特の質問の中で野原議員の質問で明らかになりましたけど、知事は、私が委員長を務めてる総務委員会に答弁に来て、知事の危機管理については万全を期すと私に言っておきながら三カ月放置しているわけですね。二度あることは三度あるのか、それとも三度目の正直なのか。仏の顔は三度までと言いますけども、二度かもしれません。知事が予算特別委員会の答弁を踏まえて、どうこれから少子化対策を頑張っていくのか議会としてしっかりと注視してまいりますので、よろしくお願いいたします。終わります。(拍手)