平成28年決算特別委員会「市町村合併に伴う商工会のありかたについて」

◯板橋 聡委員 自民党福岡県議団の板橋聡です。
 福岡県には約十四万社の中小企業が存在しており、全雇用の八割を担っております。まさに、本県の地域経済を支えているのは中小企業ということで、安倍政権が掲げます一億総活躍社会あるいは地方創生を推し進めるためには、中小企業が元気になることが不可欠だと私は思っております。
 そして、地域で中小企業を支えているのが商工会です。原則として市町村単位で設置されている商工会は、十年前の平成の大合併を契機に各地で合併が進んで、組織の拡充や経営の効率化が図られておると聞いておりますが、一方で新たな問題も発生しております。
 本日は、その観点から、市町村合併に伴う商工会のあり方について質問をしたいと思います。
 商工会は、商工会法により、地区内の商工業の総合的な改善・発達を主目的に、経営指導あるいは講習会などを実施すると規定をされておりますけれども、県として商工会をどのように評価されているか、お聞かせください。

◯井上忠敏委員長 古川中小企業振興課長。

◯古川中小企業振興課長 商工会は、個々の中小企業の活動に対する支援のほか、まちおこし事業など地域活性化を図っていくための取り組みも行っております。
 県といたしましては、商工会は地域の中小企業と地域経済の両者を支える重要な存在であると考えております。

◯板橋 聡委員 課長に答弁いただいたとおり、まさに商工会は中小企業を支える大切な団体です。また、経済を初めとする地域活性化を含め、重要な役割を果たしていると私も思っております。
 その中で、前述のとおり、商工会は市町村単位で設置されておるわけですけれども、平成の大合併が行われたことを契機に、商工会の合併も進んだと聞いております。具体的には、何件の合併が行われたのでしょうか。

◯古川中小企業振興課長 委員御指摘のとおり、市町村合併に伴い、商工会の合併も進んでおります。平成十八年からこれまでに十七件の合併が成立いたしまして、平成十七年当時、八十一あった商工会は、平成二十五年度までに五十二商工会となって、現在に至っております。

◯板橋 聡委員 市町村合併の結果、商工会の合併は進んでおるようですけれども、一方で、商工会を持った町と商工会議所があった市が合併した場合は、そのまま商工会と商工会議所が新しい市において、そのまま併存しているケースがあります。
 県は、この状況をどのようにお考えでしょうか。

◯古川中小企業振興課長 市町村と商工会、商工会議所は、密接に連携して地域の商工業の振興を図る必要がございますので、そのためには、両者の区域が一致することが望ましいと考えております。
 しかし、商工会は商工会法、商工会議所は商工会議所法に基づいて設置をされておりまして、商工会同士あるいは商工会議所同士の合併については、それぞれの法律に規定がございますけれども、商工会と商工会議所の合併に関しては規定がない状況にございます。
 このため、両者が合併しようとする場合、一方が解散する吸収合併以外に道がないという問題に加えまして、両組織の成り立ちや実態的に組織運営等に違いがあるため、県といたしましては、商工会と商工会議所の合併は当事者間の話し合いに委ねることとしております。

◯板橋 聡委員 これは非常に難しい問題で、御答弁のとおり、当事者間の意向を尊重する姿勢というのは理解いたします。しかしながら、人口減とか、あるいは経済環境の変化など、将来的に先送りしているだけで、当事者間で、なかなか話が前に進まなくなる可能性というのもゼロではございません。
 そういう意味では、県の関与が必要になってくる可能性は十分にあると思いますので、これは今後の課題として、しっかりと把握をしていただき、注視を続けていただきたいなと思っております。
 商工会の合併によって、スケールメリットとか、あるいは組織力、財政力の向上が期待をされております。一方で、会員支援力の向上が会員や地域活性化において最も大切な効果と私は考えております。
 商工会が合併したとしても、企業の数は一気に減ったりするわけではございません。財政力の向上を追求する余り、経営指導員を削減するといった無理なコストカットがあっては、本末転倒となります。指導員の数が減ると一人当たりの負担がふえて、結果として商工会のかなめである経営指導に支障が出ることを危惧しておりますけれども、その点、現状はどうなっておりますでしょうか。

◯古川中小企業振興課長 合併によりまして、商工会の運営や小規模事業者の支援に支障が生じないよう、商工会の職員の配置につきましては、例えば、通常、小規模事業者数三百以下の場合の定数が一であるところを、合併商工会については二百以下を一にするなどの特例措置を設けて対応いたしました。
 また、このような措置によっても定数が減少する商工会につきましては、職員が退職するまでは過員として配置をしておくことができるようにしまして、商工会の職員数が減らないように配慮したところでございます。

◯板橋 聡委員 つまり、それは退職者が出るまでは人員はしっかり確保できると。一方で、退職しても新規採用ができないということを意味しております。職員数の維持という点では、確かに意味があると思うんですけれども、いずれ皆さん年を重ねて定年退職をすると。そうすると指導員の新陳代謝が起こるわけでして、経営指導員の年齢構成が逆三角形、頭でっかちのような状態になりますと、若い指導員を育成するという面で問題があるなと感じております。
 経営指導員の指導力向上、すなわち会員支援力の向上は、先ほど申しましたとおり、地域活性化の肝であると思っております。県として、こういった指導力、あるいは会員支援力の向上に対してどのような対応が考えられますでしょうか。

◯古川中小企業振興課長 委員御指摘のとおり、特に規模の小さな商工会におきましては、指導者の年齢構成に隔たりが生じやすいという実態がございます。
 そこで、平成二十二年度から商工会の組織体制の強化と人事異動による職員能力向上を図るため、商工会職員の採用や人事異動、人事配置を福岡県商工会連合会で一括して行うように改善を行っており、現在、毎年十五名程度を採用しております。また、指導員の経験や年齢構成等を考慮いたしまして、商工会間の人事異動も行っているところでございます。

◯板橋 聡委員 これは、教育の問題でも同じだと思いますけれども、今、非常に先生の指導力が落ちてくると、学生あるいは児童の学力に影響が出てくるというのが非常に取り沙汰されております。
 そういった意味では、地域の中小企業というのは、なかなか、そういった経営に関する知識、知見あるいは経験というのが得にくい環境にありますので、やはり、こういった部分で指導力をしっかりと高めていくというのが地域経済の活性化には絶対必要だと思いますので、この点、しっかりやっていただきたいと思っております。
 ちょっと視点を変えまして、次に、商工会が所有する施設について質問をいたします。
 合併した商工会の所有施設については、支所として継続して活用されているところもあれば、施設の統合によって効率化を図るために廃止をするところもあると思いますけれども、県内の状況はどうなっておりますでしょうか。

◯古川中小企業振興課長 平成十八年度以降これまでに、四十六の商工会が合併で再編をされました。このうち、現在も支所として維持しているのは、十一商工会、十九支所となっております。
 また、施設の廃止につきましては、合併時期に合わせて廃止したものは三件、合併後、一定期間、支所を維持した後に廃止したものは、ことし九月末をもって支所を廃止しました、みやま市商工会など七件となっております。

◯板橋 聡委員 商工会が、財政力の向上という観点から合併の効果を上げるために支所を廃止しようとしても、過去に国、県の補助金を活用して建設された建物の場合、その用途あるいは売却など制約が非常に多いと聞いております。
 例えば、私の地元みやま市の商工会は、市町村合併と同時に三つの町の商工会が合併して誕生しております。昨今、支所の用途を変更して研修センターにしたいという計画が持ち上がっているのですけれども、建設に補助金を利用していたために、いろいろと制約があって難航しておるという相談を受けております。
 このような合併効果を上げるために商工会館の用途変更といったことをする場合の活用について、県としてもうちょっと柔軟に対応するべきところもあるかと思いますけれども、御意見いただけますでしょうか。

◯古川中小企業振興課長 国、県の補助要綱では、建設費補助の対象となる施設は、商工会の指導施設及び原則として指導施設に接合した研修センター、特産品展示などのための施設に限定をされております。県としましては、現要綱をできるだけ柔軟に解釈することで、商工会館の効率的な運用、活用を図っていただきたいと考えております。
 ただ、商工会館の建設に当たっては国も補助を行っておりますので、要綱の解釈につきましても国との協議が必要となってまいります。例えば、先ほど御指摘のみやま市商工会の場合は、支所廃止後の旧山川町の商工会館を商工会の研修センターとして活用したいという御意向でございますので、県といたしましても、この方向で国と協議を行っているところでございます。

◯板橋 聡委員 環境の変化に対応するため、合併したにもかかわらず、過去の補助金の制約等により前向きな改革が遮られることがないように、みやま市のみならず、福岡県下全てで柔軟な対応をお願いしたいと思います。
 一方、合併した商工会の多くは、今でも複数の商工会館を保有しております。今後、効率的な商工会運営のために支所を廃止したいとか、そういったケースもふえてくるのではないかと予想をされます。
 抜本的な対応策として、商工会館の処分に際して、例えば、補助金の返還基準とか他の施設への転用の要件について、大幅に見直すことが必要なのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

◯古川中小企業振興課長 国庫補助を受けて建設した商工会館の処分につきましては、国において要件や手続を定めておりまして、その原則に従って行われる必要がございます。
 事業者数が減少する中、今後、商工会の職員定数も減っていくものと考えられ、小規模事業者への巡回指導などの支援機能を維持、強化するため、支所を廃止して職員を一カ所に統合し、不要となった商工会館の処分を望む商工会も将来的には出てくるものと想定されます。
 このため、こういった地域の実情を踏まえまして、商工会館処分の際の補助金の返納基準あるいは他の施設への転用要件の見直しにつきまして、国に要請してまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 ぜひ、福岡県として国に対する要請、力を込めてやっていただければなと思っております。
 地域の中小企業、地域経済を支える商工会の役割、それについて合併に伴い、どういう効果があるかというのを今、いろいろお話をさせていただきました。やはり、商工会の支援機能の維持、強化のためには、経営指導員の資質向上、こういったものが非常に大事でございますし、それを実現するために、施設の運用等々で財政面でも強くなる、あるいはスケールメリットがとれるような運営をしていくことが非常に大事だと考えております。
 県が今後、商工会に対して、その取り組みに対して部長としてどう考えるか、最後、御意見いただけますでしょうか。

◯井上忠敏委員長 小島商工部長。

◯小島商工部長 委員から冒頭にお話ございましたように、福岡県の中小企業でございますけれども、県内企業の九九・八%、それから雇用の面でいきますと約八割を担っていただいておりまして、県経済の発展、まさに活力の原動力となっております。こうした地域の活性化を図っていくためには、中小企業の成長、発展が不可欠だと考えております。
 この中小企業の成長、発展を図るため、私どもでは昨年度、中小企業振興条例、それから基本計画を策定して、成長段階に応じてきめ細かく支援をしていくことに取り組んでまいっております。きめ細かく対応していくためには、まさに、中小企業の一番身近な存在でございます商工会の経営指導員の皆さんの質の向上が何よりも大切であると考えております。
 私どもは、そういう意味で、先ほど課長が申し上げましたように、経営指導員の資質向上を図るために、まず、入って間もない若手指導員の研修につきまして、資質を向上させるための新しい取り組みでありますとか、あるいは一定程度、経験を積んだ指導員に対しましても、意欲を高めることにつながるような方策についてしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
 もう一つ、施設運用などの問題、商工会合併に伴うさまざまな問題につきましては、まず県で対応できることについては速やかに対応するとともに、制度改革といったような国の改革が必要なものにつきましては、地域の実情をしっかり踏まえて、国に改正を求めてまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 まさに、部長がおっしゃったとおり、地域の中小企業が元気になって、そして地域経済に活性化をもたらすためには、商工会、こういったところがしっかりと指導していくというのが非常に大事だというのは間違いないと思うんですね。
 きょう、ずっと塩川委員から筑豊のお話なんかも出ておりましたけれども、やはり地方の中小企業までになかなかアベノミクスの恩恵が届いていないことに関しては、やっぱり商工会なんかがちゃんとそれをドライブしていくような役回りが必要なのではないかと思っております。
 県の政策におきましては、毎年、プレミアム商品券の補助とか、あるいは昨年度つくりました中小企業振興条例とか、いろいろと頑張っているところはありますけれども、どうもお話を聞いていると、県知事からのお話は、今まで中小企業への直接的な支援だとかが非常に多かったのかなという気がして、経産省御出身の県知事におかれましては、商工会議所、商工会とは非常に密な関係を持っていらっしゃると聞いておりますけれども、なかなか商工会のてこ入れ自体に関して、私は余り知事からお話を聞いたことがございません。そういった意味では、そういった商工会に対するてこ入れも含め、どのように県として考えていくかを県知事に直接お伺いしたいと思いますので、知事保留のお取り計らいをお願いいたします。

◯井上忠敏委員長 ただいま板橋委員から申し出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。
 なお、知事保留質疑は十一月四日金曜日に行う予定でありますので、御了承願います。

◯板橋 聡委員 終わります。(拍手)