平成28年度予算特別委員会「園芸作物振興について」

◯板橋 聡委員 園芸作物振興についてお伺いします。
 私の地元、みやま市を含む県南地域は、肥沃な筑後平野に広がる農村地帯で、農業こそが各地域が持つ特性や資源を生かす基幹産業であります。これこそが雇用のベースカーゴであると考えております。
 今議会の我が会派の代表質問においても、TPP協定により園芸品目についても関税撤廃に向けて大きく動き出したことから、今後ますます振興施策に力を注いでいかなければならないと指摘したところです。
 知事からは、ミカンを初め果樹は植えつけてから収穫するまでに年数を要するため、早急な対策が必要であることから、県が開発した極早生ミカンの早味かん、甘柿秋王などへの改植に対する支援を強化するとともに、高収益型園芸農業の予算を拡充するとの答弁がありました。
 そこで、まず、二十八年度の新規施策として打ち出された高収益型園芸事業の果樹緊急対策について、その内容と狙いについて説明願います。

◯加地邦雄委員長 鐘江園芸振興課長。

◯鐘江園芸振興課長 本対策は、果樹におきます乗用防除機、それから乗用草刈り機といいました省力機械の導入を支援するものでございます。これは、早味かんや秋王など改植する際に苗木の間隔を広く、また直線的に植えつけることで、これらの機械の導入が可能となりますことから、改植の加速化とあわせまして生産の効率の向上を狙ったものでございます。

◯板橋 聡委員 この高収益型園芸事業には、我が会派は平成四年度、他県に類を見ない大型の県単独事業として創設した当初から、深くかかわってきております。そして、近年では、二十二年度の雇用型経営対策、二十三年度の六次産業化対策、そして本年度から実施している施設長寿命化対策など、県当局に対し、その時々の情勢を踏まえたメニュー提案も行ってまいりました。
 継続的に本事業を実施し、県内各地域の園芸農家を強く後押しすることで、今では園芸農業が本県農業の大きな柱になったところであります。また、国に全てを頼らず、本県独自で実施してきたことは、各地域の農家からも高く評価されており、期待も大きいものと考えております。
 このような中、TPP協定が大筋合意されたことを踏まえ、県の財政事情が厳しい中で、今回、果樹緊急対策として五千万円を追加措置し、総額十四億五千万円に拡充するわけであります。我々は、国内外の産地の厳しい競争にさらされようとしている農家の不安を解消し、意欲ある取り組みを確実にフォローし、さらなる振興につなげていかねばなりません。
 時を同じくし、政府はTPP協定を踏まえ、二十七年度補正予算で産地パワーアップ事業を創設しました。この事業の狙いは、産地の競争力を強化するというものであります。その意味からも、本県の高収益型園芸事業と目的は一致するものであり、この国庫事業も最大限に活用し、各地域で頑張っておられる多くの方々の期待に応えていくことが必要だと考えますが、いかがでしょうか。

◯鐘江園芸振興課長 県といたしましては、国が競争力の強化を目的に新たに創設いたしましたこの産地パワーアップ事業を活用しまして、強風に耐えるハウス、それから集出荷施設など、比較的事業費が高い施設につきまして支援することとしておりまして、高収益型園芸事業とあわせまして実施することで、県が強く進めております収益性の高い園芸農業の確立に資するものと考えております。
 このため、二十八年度予算としまして十八億七千万円余をお願いしているところでございまして、この両事業を実施することで多くの意欲のある取り組みにしっかりと応えてまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 次に、私の地元、みやま市はミカンの有数な産地であり、柑橘部会では糖度の高いよりすぐりのミカンを区別して販売しています。この取り組みは、十年ほど前に、本当に品質のいいものは高く売ろうということから始まったもので、これにより市場の評価も高まり、価格も安定し、経営の見通しも明るくなったとの声が多くなっています。
 この取り組みを積極的に進めた伍位軒という中山間地の地区では、数年前からUターンする若者がふえて、それに伴い小学生以下の人口もふえ、本年度、全国豊かなむらづくり表彰事業において農林水産大臣賞を受賞するなど、地元出身の私にとっても非常に誇らしいことと思っております。
 彼らは、産地独自品種の北原早生の導入にもいち早く取り組み、従来のミカンのおよそ一・五倍の価格で販売するなど、産地を牽引しています。また、本年度販売を開始した早味かんについても、極早生ミカンの起死回生の品種として作付を拡大したいとの思いも強いようです。
 露地ミカンのスタートを飾る極早生ミカンは、糖度が上がりにくく、ミカン消費の足を引っ張るという理由から、国は作付を推進しないとの方針であるとのことです。私も、おいしくないミカンを出荷することは非常に問題だと考えています。消費を伸ばすためには、おいしいミカンを安定して出荷することが基本であります。
 そこで、新たな施策として打ち出している早味かんへの改植支援についてお尋ねします。この県単独事業は、国の方針に沿っていないように見えますが、どのような考えで実施されているのでしょうか。

◯鐘江園芸振興課長 委員御指摘のように、国は極早生ミカンの作付は推進しないとの方針でございます。しかしながら、一般的な極早生ミカンの糖度が九度程度であるのに対しまして、本県の早味かんは糖度十度を上回りますことから、市場からも高い評価を得ておるところでございます。
 このため、早味かんを本県のミカン産地振興に欠かせないものと判断をいたしまして、県単独で改植を支援することとしたものでございまして、来年度の本格販売に当たりましては、価格形成力のある百貨店なり高級フルーツ店、こういったところで販売を促進してまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 新しくできました選果場を使って、しっかりといい品質のものを出したいということで、地元柑橘部会の期待も大変大きいので、しっかり取り組んでいただくようお願いしておきます。
 さて次に、花卉の振興策について伺います。
 花卉といっても、福岡県が開発した秋王の柿でも、豊前海一粒かきのカキでもなく、花の花卉です。私の地元みやま市では、ナスやミカン、セロリに加え、花の栽培も盛んです。JAオリジナル品種で緑が鮮やかな観葉植物、エメラルドウェーブ、花の色が豊富で大輪のダリア、らせん状の緑のつるが特徴のリキュウソウなど、私も目をみはる新たな種類も多く生産されており、市場からも高い評価を受けているようです。
 しかし、消費者にはまだまだ知られておらず、もっとこれから花の魅力をPRしていくことが大切だと考えます。県でも既に消費の拡大に力を入れておられるようで、PRイベントや企業オフィスでの展示など取り組まれていると伺っております。
 その中の一つに、小学生を対象としたフラワーアレンジ教室が実施されているようですが、私はこの取り組みに非常に注目しております。消費を伸ばすために子供のころから花に親しむ習慣をつけることは、非常に大事なことだと思っていますが、二十七年度の実施内容を伺ったところ、実施数はわずか二十八校とのこと。私は、そんな規模では全然足りないと思っております。せっかくのいい取り組みなので、もっともっと拡大していくべきではないでしょうか。
 予算には限りがあるのは理解しますが、例えば、母の日の後のカーネーションなど、値段が下がったものを生産者に安く提供してもらうとか、工夫をすれば、より多くの子供たちに花に親しむ機会をふやすこともできるのではないですか。課長の考えを伺いたいと思います。

◯鐘江園芸振興課長 委員御指摘のように、子供のころから花に親しみ、そして花のある生活のよさを体験してもらうということは、花の消費を拡大する上でも重要な取り組みであると認識して実施しておるものでございます。
 御提案いただきましたように、生産者、それから花屋さん、こういった方々との連携を深めまして、工夫を凝らすことによりまして、実施する学校数をふやし、より多くの子供たちが花のよさを体験する機会をつくってまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 注目しておりますので、よろしくお願いします。
 さて、本県は全国三位の花の生産県です。しかしながら、家庭の消費は全国県庁所在地の四十一位と、生産していますけれども、なかなか花を買うという習慣が少なく、非常に低い状況にあるとのことです。本気で消費を拡大しようと思えば、さらに踏み込んだ取り組みが必要と考えております。
 そうした中で、次年度の新たな施策として、福岡の花購買促進事業が打ち出されておりますが、具体的にどのような内容なのか、説明をお願いします。

◯鐘江園芸振興課長 家庭消費の拡大に向けまして、県内の八百店の花屋さんと連携をいたしまして、週末に花を気軽に買って帰っていただくウイークエンドフラワーキャンペーンを実施することとしております。具体的には、地元テレビ番組での県産花卉の紹介や、花を買ったことがない若者に街角で花のよさをPRいたします。さらに、持ち帰り用の手軽なバッグをつくりまして、週末には家庭に花を飾るということを浸透させてまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 まずは、生産をしている福岡県から花の消費が拡大することを祈っております。
 さて、平成二十六年度に内閣府が行った農山漁村に関する世論調査によりますと、都市住民の三割が農山漁村地域に定住してみたいと答えており、この調査から田園回帰の流れを酌み取ることができると思います。
 一方で、後継者問題で地元農家は大変頭を痛めております。やはりTPP問題等々ある中、しっかりとした後継者あるいは新たな生産者の育成がなければ、海外と日本の競争の中でしっかりと打ち勝つことはできません。
 こういう好機を捉えて、しっかりと農外からの参入者を受け入れるべきだと私は思いますけれども、県はどのような支援を行っていますか。

◯加地邦雄委員長 近藤経営技術支援課長。

◯近藤経営技術支援課長 新規就農者の対策につきましては、就農前の情報発信ということで、セミナーや相談会を開催しているところでありますし、就農時につきましては、営農から生活までを一体的に支援する市町村の相談窓口の設置を支援しているところでございます。その中で、いろいろ研修の取り組みなり、空きハウスや空き農地の情報収集、あっせんといったような取り組みもされているところでございます。それから、就農後の所得確保に対しては、青年就農給付金を活用した支援もさせていただいております。

◯板橋 聡委員 お答えは、やっていると、とにかくやっているんですということですが、本当にそうでしょうかね。私は、地元のほうでいろいろな生産部会との意見交換をしております。具体的に申しますけれども、ナス部会など、今、非常に後継者も少なくて、県からもそういった部分で支援が受けられるのか心配をされている部会がございます。そういったところは最近、空きハウスとか空き家がふえてきたと、こういうのも含めて何とかせないかんということで、彼ら自身、青年就農給付金を利用して、農外からの新規参入希望者がいた場合、その研修を積極的に受け入れたいと。さらに地元で安心して定着できるように、空きハウスとか空き家のあっせんの仕組みづくりに対して支援できないのでしょうかという悲痛な叫びを私のところに訴えてきていらっしゃいます。
 先ほどの井上順吾委員のおっしゃった人の思いに応えるということをしっかりやっていただかなければ困るのですけれども、この事業は一体何年からやっておるのですか。

◯近藤経営技術支援課長 営農から生活まで一体とする市町村の相談窓口につきましては、平成二十四年度から取り組みを進めているところでございます。

◯板橋 聡委員 平成二十四年からということで、もう丸四年も過ぎようというところでありますけれども、その間に具体的な相談件数、あるいは県外からの新規就農の数は一体何人いるのでしょうか。

◯加地邦雄委員長 執行部は答えられますか。

◯近藤経営技術支援課長 新規就農者の状況につきましては、ここ三年ほどは二百名を超えるところで推移をしておりまして、そのうち農外からの新規参入者につきましては六十名前後で推移しております。そのうちの県外からの分については、申しわけありません、今、手元にございません。

◯板橋 聡委員 先ほど言いましたとおり、内閣府のほうで田園回帰したいというような調査結果が出ておるわけですけれども、それをしっかり受けとめられているかどうかを判断できなければ、この施策が合っておるかどうか、全然わからないわけですね。そういったことに関して、一体、県のほうから地元のどこと連携をとって、どういうふうなフィードバック等々しているのでしょうか。

◯近藤経営技術支援課長 県といたしましては、先ほどから申し上げています市町村が設置する相談窓口の中で、農協や農業委員会等、関係団体と一緒になって、またいろいろな議論をさせていただいているところでございます。

◯加地邦雄委員長 この際、委員各位に申し上げます。本日の審査は午後五時までを予定しておりましたが、議事の都合により、このまま続行させていただきます。よろしくお願いいたします。

◯板橋 聡委員 結局、そういうふうにやっている、やっているという話ですけれども、地元で全く、その声が吸い上げられていないと。そういったところに対しての指導等々の体制はどうなっているのか。具体的にみやま市の中で話を聞かせていただけますか。

◯近藤経営技術支援課長 県内には、直接農業者に接する普及指導センターがございまして、そちらのほうがみやま市の相談窓口設置の中で、先ほど言いました農協なり農業委員会さんと一緒になって議論をさせていただいているところでございます。

◯板橋 聡委員 いや、違います。普及センターがやっているではなくて、どういう体制で具体的に何をやったか。こういう困った人の声が上がってきていないということに対して課長はどう思われるか、教えてください。

◯近藤経営技術支援課長 みやま市において相談窓口の取り組みについては、就農相談会が開催されております。その声が上がって……。ちょっと申しわけございません。

◯板橋 聡委員 いやいや、就農相談会の話ではないんですよ。就農相談会は、こっちから出す話でしょう。現場の声をどうやって吸い上げているかという話を聞きたいんですけれども、部長、どう考えられますか。

◯加地邦雄委員長 小寺農林水産部長。

◯小寺農林水産部長 現場の声につきましては、少し繰り返しになるところもありますけど、私どもは普及センターがございます。普及センターのほうで農協、それから関係の市町村、そういうところと話しながら、どういう方が入ってくるか、そういう中で、その方がどういう課題があるのか、どういう面で不安を持っておられるのか、そういうのをいろいろ聞いていく、そこがワンストップの窓口でございまして、そういうところで入ってこられる方のいろいろな課題、不安、そういうものを聞きながら、そういう方が定着していくように、いろいろ指導をやっているところでございます。

◯板橋 聡委員 指導はいいんですけれども、実際、現場から、こういうことをやってみたいんだと、こういうふうにやったらどうなんだというアイデアが出てきているんですよ。それをしっかりすくい上げて、実際の施策につなげていくのが一番大事な仕事だと思っております。
 これに関して、TPPだとか、いろいろな問題で地元の農家は物すごい不安を抱えているわけですね。親が不安だと、息子が農業を継ごうなんて思わないですよ。そう思いませんか、部長。

◯小寺農林水産部長 確かに、新規就農される方にとりましては、やはり今実際やられている方の経営、そういうものが非常に関心もありますし、そういうのがきちんとやられていることが一番重要だと思っております。

◯板橋 聡委員 だから、何か回答になっているのかどうか、よくわかりませんけれども、今後TPP対策等を考えたときに、今回は高収益園芸に関する新たな施策というのはしっかり御説明いただきましたけれども、実際にそこの現場で就農して、生産する人がいないといけないと。原資があって、人がいて、この二つにさらに知恵が加わって、ちゃんとしたTPP対策等々がとれるということになるのだと思いますけれども、私は今の回答ではとてもちょっと、それをきちんと三位一体になってやる体制が今の農林水産部のほうでできているかどうか心配でございます。ぜひ、この件に関しては、知事保留をさせていただきたいと思います。

◯加地邦雄委員長 ただいま板橋委員から申し出がありました知事保留質疑を認めることにいたします。なお、知事保留質疑は三月十八日金曜日に行う予定でありますので御了承願います。

◯板橋 聡委員 終わります。(拍手)