平成25年度予算特別委員会質問「園芸施設へのチップボイラーの推進・農地の湛水被害を解消する防災減災対策について」

◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋聡です。本日最後の質問になります。執行部の皆様、簡潔明瞭なお答えをお願いいたします。
 大きく二点について質問いたします。
 まず、園芸施設へのチップボイラーの推進について質問します。県はこれまでも重油の高騰に対応し、省エネルギー化施設などの導入を進めてきましたが、どのような対策を行ってきましたでしょうか。

◯原口剣生委員長 岡本園芸振興課長。

◯岡本園芸振興課長 重油使用量を減らし、コストを削減するため、平成十九年度に高収益型園芸事業に省エネルギー化推進メニューを創設しました。具体的には、ハウス内の保温性を高める内張りカーテンや温度むらをなくす循環扇など、施設整備を支援してきたところでございます。

◯板橋 聡委員 農家の方はいろいろな省エネ対策に取り組んで、できることはやりつくしたぐらいの認識だと思いますけれども、今年度予算の主要事項に上げられています園芸施設ハイブリッド暖房システム(福岡方式)モデル事業費について、簡単に御説明ください。

◯岡本園芸振興課長 木質チップボイラーと既存の重油ボイラーを併用した暖房システムであります。恒常的な加温部分は木質チップボイラーを、急激に温度が低下したときの加温は既存の重油ボイラーを用いるシステムでございます。なお、チップボイラーは複数のハウスで共同で導入し、各ハウスに温湯を供給するセントラル方式をとることといたしておるところでございます。

◯板橋 聡委員 この事業により現地で実施する具体的な内容もあわせてお願いします。

◯岡本園芸振興課長 現地実証につきましては、一ヘクタール程度の複数のハウスがまとまった団地で実証し、各ハウスに合った温度管理方法やコスト削減効果を実証する計画です。また、未利用になっている間伐材などを低コストで供給するための効率的な収集方法や乾燥方法等も実証します。システムを初年度に導入し、現地実証は三カ年間実施するところでございます。

◯板橋 聡委員 この実験に対して、施設設置に五千万円も要するということですけど、採算が合うのかちょっと疑問でございます。事業実施に当たって、どの程度のコスト削減を見込んでいるかお答えください。

◯岡本園芸振興課長 実際の導入に当たりましては、導入費を抑えるため、ボイラーの規模や各ハウスでの熱交換器の配置などを検証することが必要だと思っています。現段階でのコスト削減の見込みでございますが、トマトなど管理温度が十二度程度になる作物で、重油価格が一リットル当たり九十円、チップ価格が一キログラム当たり十円の場合、十アール当たり燃料費は重油暖房の二分の一に当たる約四十五万円程度が削減の見込みでございます。また、暖房機の償却費も含めた十アール当たりのコスト削減の見込みは、三十万円程度と見込んでいるところでございます。

◯板橋 聡委員 効果はかなり期待できるのかなと思います。昨年の衆議院解散直後から、金融政策の見直しの期待によって円安傾向が続いております。ことし一月の平均原油価格は九十二・九円、近いうちに百円を超えるとか百二十円まで行くとかという予想もございます。園芸農家は本当にコストに耐えられない、限界に来ている状況でございますので、実証実験に三年と先ほど申されましたけれども、一年目に結果を出すぐらいの意気込みでやっていただく。そして、結果を出したらスムーズにこれを普及させるためにもいろいろな段取りというのも必要になってくると思いますので、そういうものをあらかじめ支援する体制を整えるぐらいの意気込みでぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 ぜひ谷部長の見解をお聞かせ願います。

◯原口剣生委員長 谷農林水産部長。

◯谷農林水産部長 重油が高どまりしている状況の中で、やはり農家経営が安定するためには、重油の量を削減していくということが喫緊の課題でございます。そういった意味では一年でも早く現場に普及していくというのは、私も同じ気持ちでございます。しかしながら、先ほど委員の御質問がございましたように、そんな多額の投資をしてペイするのかということでございます。これは私どもペイすると思っているわけでございますけれども、実証効果がきちんと証明されていない段階で農家に普及するというのは、農家経営に対するリスクが大きいと考えております。また、技術的に解決しなければいけない問題も残っております。そういったリスクを解決した上で農家に普及を図っていくというのが、私どもとしては先にやることではないかと思っているところでございます。

◯板橋 聡委員 そういったリスクの部分もしっかり検証しなければなりませんけれども、その段取りというか、オーケーだというゴーサインが出たらば、なるべく速やかに普及できるように、ぜひその答弁ぐらいのスピードでやっていただきたいと思います。
 続きまして、湛水被害を解消する防災、減災対策について質問させていただきます。通告に基づき、国・県の農業関連公共予算の推移、農林水産部当初予算前年比、農業農村整備事業に係る県単公共事業予算推移の提出を、委員長、お取り計らいのほどよろしくお願いします。

◯原口剣生委員長 お諮りいたします。
 ただいま板橋委員から要求のありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕

◯原口剣生委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
 執行部に申し上げます。ただいま板橋委員から要求がありました資料については提出できますか。関農村森林整備課長。

◯関農村森林整備課長 直ちに提出させていただきます。

◯原口剣生委員長 資料を正副委員長に確認させてください。
    〔資料確認〕

◯原口剣生委員長 資料の配付をお願いします。
    〔資料配付〕

◯原口剣生委員長 資料が配付されましたので、板橋委員、質疑を行ってください。

◯板橋 聡委員 では最初に、簡潔に説明をお願いいたします。

◯関農村森林整備課長 資料について御説明いたします。一枚目の国・県の農業関連公共予算の推移についてでございます。これは平成二十年度から平成二十五年度までの国及び県の農業農村整備予算の推移をあらわしたものでございます。グラフの実線が国の予算で、目盛りは左側でございますが、平成二十二年度に前年の五千七百七十二億円から、対前年比約三七%の二千百二十九億円に激減いたしまして、交付金と合わせても対前年比で約半分の二千九百九十九億円になっております。その後、若干の増減はございましたが、今回、平成二十五年度の数字であらわしておりますのは、平成二十四年度の経済補正対策と平成二十五年度当初予算を合わせた十五カ月予算でございまして、交付金と合わせて五千九百二億円となっております。削減前の平成二十一年度の水準を上回る大幅な増額となっております。
 一方、県の予算は、グラフの一点鎖線であらわしております。国の予算の減額に伴いまして、平成二十二年度は対前年比七七%の百二十億円余に減額し、その後、平成二十四年度まではほぼ同水準で推移しております。今回、国の予算増額に伴いまして、平成二十四年度補正と平成二十五年度当初を合わせた十四カ月予算で百六十九億円余の予算をお願いしているところでございます。
 それから、二枚目の上の表は、農林水産部の平成二十五年度当初予算でございます。平成二十五年度の当初予算は区分のAと書いているところで、総額が六百七億六千五百万円余、対前年比一〇三・四%でございます。平成二十四年度の経済補正対策と合わせた十四カ月予算で見ますと、表の右のほうの区分A足すCという欄になり、七百十九億六千九百万円余で対前年比一二二・四%となっております。
 このうち農業農村整備事業費は、公共事業費のうち網かけをした「農地関係」と記載した欄でございます。平成二十五年度の当初予算は、国庫補助百十二億六千九百万円余と県単公共十七億三千三百万円余を合計いたしました百三十億二百万円余、対前年比一〇四・三%でございます。これも経済補正対策と合わせた十四カ月予算で見ますと、国庫補助が対前年比一五八・三%の百五十一億八千九百万円余と大きく伸びておりまして、県単予算と合わせた農業農村整備事業費全体では、対前年比一三五・八%の百六十九億二千三百万円余としております。
 同じページの下の表が、農業農村整備事業に係る県単公共事業予算額の推移でございます。農業農村整備関係の県単公共事業費全体は十七億三千三百万円余、対前年比は六〇・四%となっております。これは、防災事業費関係がここ二年ほど県単事業を用意していただきまして、それを国庫補助の減額の補填に充てておりましたけれども、今回、国の予算が大幅に増額いたしましたので、これを国庫補助事業費のほうにシフトいたしましたために、県単公共事業費の中の災害に強いため池等整備事業費を対前年比五一・三%の十一億九千六百万円余としたことにより、県単事業費全体が少し少なくなっているということでございます。
 説明は以上でございます。

◯板橋 聡委員 丁寧な御説明ありがとうございます。
 過去三年、非常に国庫補助事業が減っていて、県内のいろいろな経済的な影響を最低限にするために、県単事業などで平成二十三年、二十四年補っていたという大前提があり、政権交代によって国庫補助事業が増額したことで県単独事業、とりわけ二枚目の下段の県単公共事業費というのは二十三年、二十四年にがっとふえて、これが福岡県のいろいろな経済対策とみなされていたわけですが、二十五年になって減らされていたということでございます。この事業は特に防災、減災に資する事業ですので、やはりこれは国頼みではなく、県独自に推進していく必要があると思うんですけれども、見解をお聞かせください。

◯関農村森林整備課長 防災、減災事業の推進についてでございます。
 災害に強い安全、安心な農業農村をつくるため、防災、減災にかかわる事業を計画どおりに実施できるよう、必要な予算を確保することとしております。平成二十二年度に国の予算が大幅に削減されましたことから、国の予算に左右されずに、必要な防災対策を計画的に進めるため、県単独事業である災害に強いため池等整備事業を創設していただき、平成二十三年度から三カ年計画で予算を確保して、着実に実施しておるところでございます。
 今回、先ほど御説明いたしましたように、平成二十四年度補正及び平成二十五年度当初予算を合わせて、国の農業農村整備事業費が対前年比約二倍と大幅に増額され、さらに農山漁村地域整備交付金と合わせて平成二十一年度並みの予算が確保されたところでございます。県もこれを最大限活用いたしまして国庫補助事業を大幅に増額したところから、県単事業を減額したものでございます。
 災害に強いため池等整備事業費だけを見ますと、対前年比五一・三%でありますけれども、先ほど説明いたしましたとおり、農業農村整備事業費全体では対前年比一三六%、そのうち防災事業全体では、対前年比一三一%の予算を確保しておりまして、ため池やクリーク整備の計画的な推進には十分対応できると考えております。

◯板橋 聡委員 県の農業・農村振興基本計画において、集中豪雨などで被災しやすい地域は排水対策を計画的に実施することとしております。本年度に各農林事務所で湛水被害の調査を実施していると聞きますけど、調査内容とその結果を教えてください。

◯原口剣生委員長 安河内農山漁村振興課長。

◯安河内農山漁村振興課長 本年度、各農林事務所において市町村に聞き取りを行っております。農業振興地域の農用地を対象とした湛水常襲地域の箇所やその範囲を調査いたしております。その結果、県全体では二十九市町、百四十カ所、約四千ヘクタール程度の湛水常襲地域がございました。

◯板橋 聡委員 湛水常襲地域が確認できたのはいいと思うんですけれども、例えば、県土整備部では今回の水害を受けて、河川計画の見直し等含め、徹底した原因究明を行って、それにあわせて復旧計画や今後の対策を立て、住民説明などを行っております。そもそも県は施設園芸を強力に推進しており、先ほどの月形委員の質問の資料にもありましたとおり、ここ二十年で園芸作物の産出割合は四七%から五七%と大幅に伸びているわけで、水田がどんどんハウスにかわっていっているような状況です。湛水防除という意味では非常に大きな役割をする水田が変化する環境の中で、適切な湛水防除を行うためには、農林水産部で徹底した原因究明を行う、そして対策を立てて事業を進める、これがなければ、内水面被害に対して住民の安全、安心は図れないと思うのですけれども、見解をお聞かせください。

◯安河内農山漁村振興課長 今回、調査しました主な湛水の原因は、海岸や河川に近い水田地帯に湛水常襲地域が多く、排水先でございます河川の増水などが排水不良と考えられるところでございます。しかしながら、施設園芸の導入等も進んでいることもございまして、地域によっては状況が異なりますので、さらに原因を明らかにしていきたいと考えております。

◯板橋 聡委員 水が原因となる災害、いわゆる水害はさまざまな要因があります。河川の治水や湛水防除、高潮対策などなどです。しかし、それぞれは管理する法律も違えば部署も違います。県土整備部、農林水産部、水産局、ざっと挙げただけで三つの部局が絡んでおります。これらを一本化した窓口が存在しておりません。防災危機管理局がひょっとしたらこういう窓口かなと思って確認したんですけれども、防災危機管理局は県民に対する災害訓練などソフト対策が目的とのことです。つまり、水害におけるハード面の防災、減災を統括する窓口は存在しないというわけでございます。
 これでは真の水害対策は進みませんし、市町村や団体はこれをどう管理して、把握してやっていくのかわからず、大変困っている。河川の問題なのか、湛水の問題なのか、どっちが原因かわからないところが非常に多いということです。ですから、水害対策に関して、ぜひ一本化した窓口が必要だと思うのですけれども、谷部長の見解をお聞かせください。

◯原口剣生委員長 谷農林水産部長。

◯谷農林水産部長 御指摘のように、河川管理につきましては県土整備部、農地については農林水産部がそれぞれ所管しておるわけでございまして、昨年のような災害が起こった場合は、お互い連携しながら工事等の進捗管理も行っているところでございます。しかしながら、災害時はもとより、先ほどからの御指摘でございます湛水被害の常襲地の解消につきましては、やはり日ごろから私どもはその原因をお互いが共有しながら解決していくことは必要でございますし、それぞれやっていかなければならないと思っているところでございます。今後とも、そういった観点で被害防除に向けました情報の共有、あるいは被害対策の共通実施といったものにつきまして、県土整備部ともしっかり連携してやっていきたいと思っております。

◯板橋 聡委員 連携するのは当然かなと思っております。何が原因で、どうしていけばいいのかというところで、法律あるいは部署の垣根を越えて、しっかりと総合的な対策をとっていただきたいということでございますが、そこまで部長に今求めるのは非常に酷かなと思います。この件は複数の部署にまたがりますし、常日ごろ豪雨災害からの復旧、復興、あるいは県民の安定、安心、安全を掲げてある知事に直接お伺いしたいと思いますので、知事保留質疑のお取り計らいをお願いいたします。

◯原口剣生委員長 ただいま板橋委員から申し出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。なお、知事保留質疑は三月二十六日火曜日に行う予定でありますので御了承願います。

◯板橋 聡委員 終わります。ありがとうございました。(拍手)